木と水を生かし 9大学が建築まちづくり提案

模型や3Dデータを示しながら提案
模型や3Dデータを示しながら提案

全国の九つの建築系大学・大学院の学生たちが、和歌山市を舞台にまちづくりの提案をするワークショップ(Inter University Workshop=IUW)の発表会が17日、同市七番丁の県立医科大学伏虎キャンパスで開かれた。「木と水の建築まちづくり」をテーマに地域の未来を描き、調査、聞き取り、考察を深めてきた学生たちが学びの成果を発表した。

紀の川の河原に着目し発表する和歌山大学の学生たち
紀の川の河原に着目し発表する和歌山大学の学生たち

IUWは学生たちが大学の垣根を越えて学び合い、地域課題に「設計」で応えようとするプロジェクト。建築史家で東京理科大学名誉教授の川向正人さんが発起人となり、2021年にスタート。愛媛県今治市や宮城県七ヶ浜町で実施し、今回で4回目。和歌山市出身の建築家で、東京理科大学教授の広谷純弘さんが幹事を務める。

参加したのは和歌山大▽足利大▽国士舘大▽千葉工業大▽東京藝術大大学院▽東京大大学院▽東京理科大工学部▽同大創域理工学部▽東北工業大――。対象地には中心市街地、築港エリア、雑賀崎・田ノ浦、紀の川を選定。7月に市内でフィールドワークを行い、行政の担当者や住民らと交流しながら検討を重ねてきた。

この日、学生たちは模型や図面、3Dデータなどを示しながら発表。和歌山大学・大学院の平田隆行准教授の研究室は、和歌山市駅北側にある紀の川の河原を生かそうと、桟橋や廃材加工場などの設置を提案した。水害などで「流される」ことに着目。河原独自の風景に新たな土地利用が生まれるというサイクルを基に、自然に配慮した計画をした。

東京理科大学工学部の学生は、中心市街地をフィールドに、現在の水辺空間を生かしながら、和歌山城を拠点に駐車場や空き地の緑化で公園や商店街をつなぐことを提案。和歌川沿いに和歌山城の桜と連続性を持たせた桜並木をつくることや、帝国座のあった場所に屋外シアターを設計する計画を紹介した。

雑賀崎・田ノ浦を選んだ東京藝大大学院の学生は、銭湯の再建や足湯スペースを提案。小さな居場所を点在させ、人の交流を生むまちのモデルを示した。

発表した和歌山大学システム工学部4回生の竹内將馬さん(22)は「9月の中間発表では、他大学が全力で和歌山のまちを考えてくれているのに刺激され、自分の力不足を感じてギアを上げて取り組んだ。和歌山を良くしたいという思いで、時間をかけて納得のいく提案ができた」と話していた。