AIオンデマンドの公共交通 紀の川市で運用開始

テープカットで運行開始が祝われた
テープカットで運行開始が祝われた

公共交通の利便性を高めようと、紀の川市は8日、AIを活用したオンデマンド乗合交通を県内の自治体で初めて本格導入した。「紀の川デマンド乗合交通(のりのり交通)」と名付けられ、まずは河北エリアを東西に分けて各1台の車両が走行し、全331カ所での乗降が可能。来年1月からは河南エリアへの拡大も予定しており、地域住民の外出の促進を図る。

市内では地域巡回バスが12路線で運行しているが、2008年度には年間4万1814人と最多であった利用者数が23年度には2万8474人と大幅に減少している。めっけもん広場前(豊田)などを巡回する三谷コースは一日往復で計2本、北勢田ハイテクパーク(重行)などを回る北勢田コースは計3本と運行本数が少ない地域もあることなどから、乗り降りする時刻や場所に柔軟に対応できるデマンド乗合交通の導入に至った。

紀の川デマンド乗合交通は、運転手を除き9人が同時に乗車可能。AIが予約の管理やルート設定などを行い、運行の効率化を図る。乗降ポイントは河北西エリアで187カ所、河北東エリアで115カ所あり、約300㍍間隔で設置されている。粉河地区の29カ所では両エリアの車両が運行し、乗り継ぎが可能。下井阪、打田、紀伊長田、粉河、名手駅も乗降ポイントとなっており、鉄道やバスと組み合わせて利用することができる。

予約は乗車の30分前までに電話、アプリ、市公式ラインのいずれかから。市役所交通政策課、各支所または市ホームページから利用登録票を入手、記入し、同課または支所に提出することで電話(フリーダイヤル0120・203・055)予約が可能になる。MONETアプリを入手、または市公式ラインを友だち追加し、名前や生年月日などの情報を登録することでスマートフォンなどからも予約できる。

料金は1回の乗車で300円。小、中学生、障害者とその介護者は200円。小学生未満は無料。乗り継ぐ場合は2回分の料金が必要。現金またはペイペイで車内で支払う。

運行時間は日曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)を除く午前8時半から午後4時半まで。電話予約の受付時間も同じ。アプリ、ラインからの予約は常時可能となる。

テープカットで祝う 出発式で岸本市長ら

出発式が8日、市役所前で行われ、岸本健市長、河北東エリアの運転を担う和歌山バス那賀㈱の佐伯一也取締役社長、河北西を担う㈱有交紀北の西脇正宜代表取締役、システムを提供するMONETTechnologies㈱(モネテクノロジーズ)の清水繁宏代表取締役社長兼CEOらが出席。運行の開始をテープカットで盛大に祝った。岸本市長らは市役所から打田駅までの間を乗車した。

岸本市長は「まずは大勢の人に乗ってもらい、便利さを知ってほしい。生活の一部として使用してもらいたい」と話した。

市民でなくても利用可能。問い合わせは市交通政策課(℡0736・77・2511)。システムについては紀の川デマンド乗合交通コールセンター(フリーダイヤル0120・203・055)。