障害の理解に活用 ポスターコンク表彰式

ヘルプマーク部門の入賞者
ヘルプマーク部門の入賞者
視覚障害者への配慮部門の入賞者
視覚障害者への配慮部門の入賞者

障害の有無にかかわらず誰もが住み良い安心安全な社会づくりを目指し、和歌山市が募集した2024年度「障害の理解・啓発ポスターコンクール」の入賞作品が決まった。最高賞の市長賞に、ヘルプマーク部門で八幡台小学校6年の前田花凛さん(12)、視覚障害者への配慮部門で近畿大学付属和歌山中学校2年の蔦谷理愛さん(14)の作品が選ばれ、表彰式が16日、市役所で行われた。

ヘルプマークは、義足や人工関節の使用、内部障害や難病、妊娠初期の人など、外見からは分からないが、援助や配慮を必要としていることを周囲に知らせ、援助が受けやすくなるよう手助けするもので、社会へのさらに広い周知が求められている。

視覚障害には、全く見えない「全盲」、矯正しても視力が弱い「弱視」、見える範囲がせまい「視野狭窄」などがあり、先天性か病気や事故などによる中途障害なのかの違い、障害の程度などによっても支援や配慮の在り方は異なる。

同コンクールは、こうした障害に関する正しい理解を社会に啓発するため、17年度から市内在住か通勤・通学している人を対象に作品を募集している。

今回は130点(ヘルプマーク部門83点、視覚障害者への配慮部門47点)の応募があり、市美育協会の松尾友絵会長(和歌浦小学校長)を委員長とする審査委員会により、各部門で市長賞1点、優秀賞2点(一般、中学生以下各1点)、特別賞1点を選んだ。

前田さんの作品は、ヘルプマークを、さまざまな人たちが手を差し伸べて握っている様子を中央に大きく描き、背景には多彩な色の円を折り重ねるように配置し、「気づいて 支えて ヘルプマーク」の言葉を添えた。

前田さんは「みんなにヘルプマークに気づいてほしいという思いで描きました。背景の色はいろんな人の個性を表現しました。ポスターを見た人が、ヘルプマークを持っている人を少しでも支えてほしいと思います」と話した。

蔦谷さんの作品は、点字ブロックの輪の上を、白杖を手にした人が歩いている様子を描き、「点字ブロックは大切な道しるべ 道をつなごう」と記した。点字ブロックの裏側には赤い線が入っており、一本につながる道しるべであることを表現している。

蔦谷さんは「点字ブロックの意味を調べて、初めて知ることが多かったです。受賞はうれしく、ポスターをいろんな人に見てもらって、点字ブロックのことを知ってもらえるのを期待しています」と話した。

表彰式で尾花正啓市長は「皆さんの作品を通じて、障害やヘルプマークへの理解を深めてもらいたい。温かい気持ちが見る人の心に響いてくる作品ばかりだった」と受賞者をたたえ、一人ひとりに賞状と、作品をプリントした記念のマグカップを贈った。

市長賞の2人の作品は、障害啓発事業のポスターに採用され、市の公共施設や障害福祉サービス関連機関などに配布する。入賞作品は20日から、市役所東庁舎1階に展示される。

市長賞以外の入賞者は次の皆さん。

【ヘルプマーク部門】優秀賞・一般の部=入倉悠真(17)▽同・中学生以下の部=藤田和奏(15)▽特別賞=原田結衣(12)

【視覚障害者への配慮部門】優秀賞・一般の部=堀江優花(17)▽同・中学生以下の部=白川斗瑛(12)▽特別賞=松本昂樹(25)