業務改善に向け 紀の川市が職員提案審査委員会
和歌山県の紀の川市は17日、西大井の市役所で、職員が業務の改善を提案し、事業化の可否を審査する「職員提案審査委員会」を開いた。採用3年目の職員が中心となり、外国人対応における翻訳アプリの導入などの発表があった。
職員の業務改善に対する意欲を高め市民サービスの向上につなげようと、市は2015年2月に職員提案制度を策定。以降毎年度、既存の制度や習慣における課題解決を図る改善部門と新規事業を提案するアイデア部門に分けて審査委員会を開いており、これまでに60件の提案のうち27件を採択した。
10回目となった今回は改善部門のみを実施。研修の一環で参加した採用3年目の全13人による4件を含む計5件の提案があり、各グループが10分間発表した。
社会福祉課の玉置裕一郎主事、農地整備課の阪上晃平主事、那賀総合センターの下岡あゆ主事は「外国人への窓口対応の負担軽減およびサービスの改善」と題して発表した。
市には製造業の工場が多く、ベトナムや中国などアジアを中心に外国人が増えていることから市の窓口対応の件数も増加しており、言語の違いによって円滑に対応できなかった事例などを踏まえ、行政用語3000単語、音声翻訳13言語、テキスト翻訳30言語に対応したスマートフォン用翻訳アプリの導入を提案。導入することで「外国人が言葉の壁を感じず安心して手続きができ、スムーズな窓口対応ができる。接客時間の短縮化につながる」と述べた。
発表を終え、下岡主事(21)は「外国人への受け入れ態勢に対し自発的に対応しようと取り組んだ。チーム一丸となって解決策を考える中で新たな発見にもつながった」と話した。
提案を受け、今城崇光副市長、貴志康弘教育長ら5人と企画部企画経営課、総務部人材マネジメント課が審査し、岸本健市長の承認を経て今月中に採否が決定する。採択となった提案のうち、予算の伴わないものは来年度から、伴うものは2026年度からの実現を目指す。
企画部企画経営課の甲佐公人副主査(30)は「若手職員の成長が市にとって重要になる。市民サービスの向上につながってほしい」と話した。