ハワイの「TSUNAMI」対策

前号では、和歌山県内で生み出された漁法がハワイに渡り、現地の人々と共に磨き上げられた技術が逆輸入される形で和歌山に定着した「ケンケン鰹」の歴史と魅力を取り上げた。
距離は果てしなく遠いが海でつながるハワイ。雄大な海に囲まれたハワイも日本と同様に津波の脅威がある。今週は地域住民と観光客を守る、ハワイの津波対策を紹介したい。
オアフ島内を歩いていると沿岸部の地域で目にする真新しい看板。「TSUNAMI HAZARD AREA」の大きな文字とともに高い波が描かれている。ホノルル市は2023年からオアフ島内の津波警戒地域に約300個の看板を設置し、有事の際の避難を呼びかけている。
オアフ島には世界的な津波予測を行い、太平洋地域における津波警報の発表を行う「太平洋津波警報センター」があり、オアフ島のみならず、日本を含む太平洋地域に警報を発表する。海外で起きた地震による日本への津波の影響を伝えるニュースなどで、この名称に聞き覚えがある方がいるかもしれない。
津波警報には日本よりも段階が細かく分けられ、影響が出ないレベルの「情報声明」から「ウォッチ(警戒注意報)」「アドバイザリー(注意報)」「ワーニング(警報)」「エキストームワーニング(大警報)」まで存在する。
警報が出ると、10階建て以上(鉄筋コンクリート造)のビルの4階以上に避難することが求められる。要避難区域に居る場合で、市営バスを見かけた場合、手を挙げて乗車の意思表示をすれば、収容能力がある場合は乗車を拒否できないというルールがあり、避難所まで送り届けるという仕組み。土地勘がない観光客にも分かりやすい、津波対策の取り組みが進められている。(次田尚弘/ホノルル)