泥の感触「気持ちいい」 中田の棚田で田植え

印に合わせて一束ずつ植える参加者
印に合わせて一束ずつ植える参加者

和歌山県紀美野町の「中田の棚田」で24、25日に田植えが行われ、参加した約140人は雨と泥にまみれながら手作業で10枚分の田んぼに苗を植えた。

生石高原の麓に広がる中田の棚田は、600年以上の歴史があり、今も手掘りの溝が残り、土木遺産としても価値が高い。棚田をかつての景観に戻そうと活動する小川地域棚田振興協議会(北裕子会長)が主催し、ことしで6回目の実施。

田植えには、棚田の活動を支援する棚田サポーターズをはじめ、一般募集の参加者、海南高校野球部員らが集まり、2日間で大小の田んぼ合わせて10枚に晩生の「あさひ」「かぐらもち」を植えた。

四つの班に分かれた参加者は、幅2㍍や6㍍などの田んぼに素足で入り、横一列に並び、ひもに付いた赤玉を目印に、一束ずつ深く差し込んでいった。泥をならして苗を差し、30㌢間隔でずれないよう丁寧に作業を進めた。

地域貢献活動で参加した海南高校生らの中には、田植えを初めて経験する生徒もおり、「初めは冷たかったけれどぬかるみも徐々に温かくなってきた」「おたまじゃくしを踏んでしまいそう」「ぬかるみに足をとられて思うように動かない」などと苦戦しながらも懸命に進めた。

ことしは、手植えと機械植えを合わせて昨年より5枚分多い33枚分(1・8㌶)に植える。棚田は全部で約10㌶。9月下旬から10月中旬に収穫を予定している。

海南市から参加した北岸梨花さん(46)は、「棚田のことはずっと知っていて、子育てが落ち着いたので初めて参加した。泥に触れ、きめ細かくて気持ち良かった。リフレッシュにもなる。楽しかった」と笑顔だった。北会長は「楽しい気持ちで田植えをしてもらうのがおいしいお米の第一歩。楽しんでもらえて良かった」と話した。