平和の尊さ訴え続ける 和歌山大空襲から80年

和歌山市中心部が米軍の爆撃を受け、1400人以上が犠牲になったとされる和歌山大空襲から80年となった9日、同市西汀丁の汀公園の戦災死者供養塔前で、追悼法要が営まれた。主催した市戦災遺族会(田中誠三理事長)の会員をはじめ約70人が参列し、不戦と恒久平和への願いを新たにした。
市などによると、同市は米軍による十数回の空襲を受け、約1400人が犠牲になったとされる。特に終戦前月の1945年(昭和20)7月9日から10日未明の和歌山大空襲で市中心部は焼け野原となり、火災や熱風から避難してきた人々が集まった汀公園では、最も多い748人が亡くなっている。
法要で田中理事長(89)は80年たった今でも戦争の恐怖は消えることはないとし、「今、私たちがなすべきことは過去に学び、現在を見つめ、未来へとその思いを継ぐこと。これからも命の重み、平和の尊さを訴え続けていくことを誓う」と述べ、尾花正啓市長ら来賓による追悼の言葉が続いた。
和歌山大学付属小学校6年生の北山陽菜さん(12)と宮垣青桜さん(11)が「平和への願い」を発表。2人は戦争について学び、恐ろしさを知ったとし、「戦争を実際に経験した人たちも少なくなっている。だからこそ、今を生きる私たちが戦争や平和の大切さについてこれからも学び続け、次の世代にも伝えていける大人になりたい」と決意した。
伏虎義務教育学校、砂山小学校、和歌山大学付属中学校の3校の児童生徒は、平和への祈りを込めて折った千羽鶴を奉納。出席者は仏教会の僧侶による読経の中、焼香し、戦災死者に鎮魂の祈りをささげた。