正装として扱われる「アロハシャツ」

前号より、和歌山の捺染技術と縁深い「アロハシャツ」の文化と歴史を取り上げている。今週は現地でアロハシャツの文化が広がった経緯を紹介したい。
ハワイでアロハシャツは正装として扱われる。高級なレストランではドレスコードとして、襟付きのドレスシャツまたはアロハシャツを指定されることが多い。
アロハシャツのブームを一時的なものではなく、文化として定着させようと、官民が一体となった着用を促す試みが行われた。1947年に実業家らがハワイの伝統文化を守り後世に伝えようと主催した「アロハウィーク」では、祭事期間中に職場でアロハシャツを着て働くことを許可。翌年には製造メーカーなどが「アロハウェンズデー」として水曜日にアロハシャツを着て働くことを呼びかけ。1956年には現地のファッション組合などが「アロハフライデー」として、金曜はカジュアルに過ごすことを呼びかけるなど、公私ともに着用できるものとして地域に根付いていった。
仕事や冠婚葬祭に使用できる万能なアロハシャツだが、使い分けがある。例えば、結婚式では「結ぶ」を意味する「マイレの葉柄」、事業を始めるときはキャリアのスタートを意味する「ウルの木柄」、葬儀の際は万物の終わりを意味する「ラウハラの葉柄」など。
県内では、ホノルル市と友好都市提携をする白浜町の職員や鉄道会社の社員が、夏季にアロハシャツを着用するのは、夏の風物詩として知る方も多いだろう。南国情緒の表現や友好都市としての連携のみならず、観光客をもてなす正装としての役割をもつアロハシャツ。和歌山でもこの文化が広がってほしい。(次田尚弘/ホノルル)