望月氏、二階氏が軸か 参院選の終盤情勢

和歌山選挙区7候補のポスター
和歌山選挙区7候補のポスター

参院選は20日の投開票まで残り2日の最終盤。和歌山選挙区(改選数1)は、無所属の望月良男候補(53)と自民党の二階伸康候補(47)の競り合いを軸に、参政党の林元政子候補(51)も勢いを増しており、日本維新の会の浦平美博候補(53)、共産党の前久候補(69)、無所属の末吉亜矢候補(54)、NHK党の本間奈々候補(56)が追っているとみられる。

和歌山選挙区は、与野党の勝敗の鍵を握るとされる全国32の1人区の一つ。自民参院幹事長を務め、派閥裏金問題で離党した旧安倍派の実力者・世耕弘成氏が5期連続で保持していた議席だが、世耕氏が昨秋の衆院選で和歌山2区にくら替え出馬し、党公認を受けた二階氏を破って当選したため空席となり、過去最多の新人7人が争う激戦区となった。

望月氏は自民の候補者選定で二階氏に敗れたが、無所属で出馬。和歌山2区に続く保守分裂の選挙で自民支持層を徐々に切り崩し、公示後の9日からは世耕氏が前面に出る支援でさらに攻勢をかけ、自主投票とした連立与党・公明の支持層、維新との候補者一本化で投票先を失った立憲民主の支持層などからも一部を取り込み、陣営の勢いは増している。

望月氏は「追いかけている方なので、(勢いが)止まるのが一番怖い。情勢調査で数字が少しずつ上がってきて、自分の感覚、手応えとも合致している。最後まで続けていけば必ず勝てると思ってやっている」と話す。

二階氏は、自民幹事長を歴代最長期間務めた父・俊博氏の秘書を長く務めた経験から、新人ながら「即戦力」をアピールし、俊博氏が取り組んだ国土強靭化、防災・減災対策などをさらに推進することを訴えてきた。

「私が通るか通らないかは小さな話。しかし、和歌山と国とのパイプ、政権与党とのパイプがつながるか切れるかは大きな話だ」とし、自民が議席を維持する重要性を強調する。

望月陣営からの切り崩しに苦しむ中、石破茂総裁(首相)、森山裕幹事長らの応援を受け、てこ入れを図っているが、鶴保庸介参院議員が応援演説で「運のいいことに能登で地震があった」と発言し、全国的な批判を浴びた影響も大きい。

有力視されてきた望月氏と二階氏の戦いに割って入る勢いを見せているのが参政の林元氏。国政政党の要件を満たし、6月の東京都議選では3議席を獲得した党全体の上げ潮に加え、林元氏が結党当初からのメンバーとして、全国で最初に党の地方組織を発足させた和歌山には、風頼みではない地盤づくりで先んじてきた背景もある。

保守層を中心に、既存政党に不満を持つ有権者をどこまで糾合するのか、注目されている。

浦平氏、前氏、末吉氏、本間氏も、自民政治からの転換や独自政策の訴えに懸命だが、候補者乱立の中で支持拡大に苦しんでいる。

最終盤は各候補とも、県都・和歌山市を中心に最後の訴えを行う。まだ投票先を決めていない有権者の動向も注目され、情勢は予断を許さない。