「あと4回多く乗って」 貴志川線存続へキャンペ
和歌山電鐵貴志川線の存続に必要な乗客数を確保するため、 沿線住民や自治体、 同社などで構成する貴志川線運営委員会は 「チャレンジ250万人 あと4回多く乗って永続させよう」 と銘打ったキャンペーンを開始する。 26日に伊太祈曽駅と伊太祁曽神社で開かれる 「第6回貴志川線祭り」 をキックオフイベントとし、 広く同線の利用を呼び掛ける。
たま駅長の全国的な知名度などから、 「もうかっている、 貴志川線はもう大丈夫と思っている人が多いのがつらい。 現状を知ってほしい」 と同社の麻生剛史総務課長(38)は話す。
同社の平成23年度決算は損失8117万円。 和歌山、 紀の川両市が支出している年間8200万円の運営支援資金により、 赤字をカバーする状況は、 南海電鉄から運営を引き継いだ18年度から変わらない。 支援資金は27年度までの10年間のため、 期限は残り3年余りとなる。
乗客数は、 南海時代の最終年、 17年度の192万2000人から23年度は218万2000人まで増加したが、 同線が運賃収入で自立するには年間250万人が必要。 沿線に住む約8万人が年にあと4回(2往復)乗れば目標を達成できるとの計算から、 今回のキャンペーン実施が決まった。
利用の主体は住民
「地域の宝物の路線を住民の手で守っていきたい」 と話すのは、 16年から同線の存続に向けた活動を続けている 「貴志川線の未来をつくる会」 (会員約2300人)の濵口晃夫代表(71)。
たま駅長の人気などで観光客は増えたが、 車で来る場合が多く、 乗客増には直結していない。 濵口代表は 「鉄道はまちづくりにつながっている。 存続できなければ地域がすたれ、 大きな損害を受ける」 と話し、 住民が利用の主体であることを強調する。
鉄道設備の問題もある。 和歌山電鐵が運営を引き継いだ際、 県は変電所の大規模修繕費2億4000万円を支援したが、 線路や信号など他の設備は老朽化が激しい。 全費用の4割を占める修繕費が経営を圧迫し、 「設備は更新したいが資金がない」 (麻生課長)のが現状だ。
濵口代表は 「経営がよくなれば、 もっと快適に楽しく利用できる路線になっていく」 とも話す。 横断幕を全駅に掲示するなどし、 乗客増を呼び掛けている。
第6回貴志川線祭りは26日午前10時半~午後3時。 屋台や展示、 運転士体験の他、 伊太祈曽駅のニタマ駅長の就任を記念する写真展、 帽子をかぶった姿のたま駅長になる折り紙教室なども開く。 問い合わせは和歌山電鐵 (℡073・478・0110) へ。