客足に回復の兆し 台風被害少ない観光
台風12号の発生後、 観光客数が低迷していた紀南・紀中地方で、 被害の少なかった一部の観光地では回復の兆しが見えているようだ。 被災した地域の旅館組合や、 首都圏にある県のアンテナショップなどに話を聞いた。
東京で和歌山の観光情報を発信している県のアンテナショップ 「わかやま喜集館」 によると、 台風被害の直後、 休日に立ち寄って旅行の相談をする人が普段より倍増。 「和歌山へ旅行に行けるのか」 という問い合わせが多かった。 最近では行楽シーズンに熊野三山を観光しようと訪れる人もいるという。
高野町では、 金剛峯寺などの観光施設に大きな被害はなく、 町宿坊組合の全ての宿坊も通常通り営業、 同組合は 「被害直後に宿坊などのキャンセルがあったが、 現在は持ち直している」。 高野山内の宿坊 「桜池院」 によると、 台風が接近した3、 4日はキャンセルが相次いだが、 それ以後は予約通り来客があるという。 しかし 「10月以降の予約状況は例年より1割程度少ない」 (同宿坊関係者)。 3日には南海高野線の橋本~紀伊清水間が運転再開している。
新宮市では、 JR紀勢線の紀伊勝浦駅から新宮駅までのことし中の復旧を目指し、 作業が進められている。 熊野三山の熊野速玉大社では、 台風直後はバスの乗り入れがない日が数日続いたが、 最近では少しずつバスで訪れる観光客も増えているという。 例大祭(15、 16日)は行う。
田辺市の熊野本宮大社では台風被害の後、 普段なら一日数十人~数百人訪れるところ、 10人程度しか訪れなかったというが、 9月末から回復の兆しを見せている。
一方で那智勝浦町では、 南紀勝浦温泉旅館組合に所属する13施設全てが通常営業しているが、 客足は例年に比べ激減しているという。 熊野那智大社では9月の台風被害の直後、 バスツアーがほとんどキャンセルになり、 復旧作業に追われた。 10月から、 那智山や同大社につながる県道の那智山勝浦線が全面復旧。 同大社によると、 まだ復旧後数日だが、 現在のところ参拝者は例年同時期の10分の1ほどという。 同組合は、 「頑張って営業しているので、ぜひ来てもらいたい」と話している。