臓器提供の現状考える 推進協25周年シンポ
臓器提供の現状を考える講演会とシンポジウム 「臓器移植について考える」 が9日、 和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で開かれ、 約150人が理解を深めた。
公益財団法人県角膜・腎臓移植推進協会 (寺下浩彰理事長) が設立25周年を記念して開催。 実際に臓器移植を受けた移植者や、 脳死による臓器提供をした家族が体験談を話した他、 救急医療に携わる日赤和歌山医療センターや県立医大の医師・看護師らが講師となり、 臓器移植の課題や問題点について話した。
このうち、 日赤の中大輔医師は、 臓器移植法の改正により、 家族の承諾のみで脳死下臓器提供が可能となった平成22年7月以降、 脳死下臓器提供は増加した一方で、 心肺停止下での臓器提供の症例数は減少していると指摘。
「結果、 臓器提供の絶対数は増えていない。 臓器提供を考える場面に遭遇した時、 患者自身の意思表示があれば、 迷いなく臓器提供を行える」 と訴えた。
講師によるディスカッションでは、 座長で、 日赤和歌山医療センターの林正副院長が 「提供したくない、 というのも意思表示。 自分の意思を、 臓器提供意思表示カードに表示してほしい」 と話し、 本人が普段から臓器提供の意思を口にし、 脳死下で臓器提供を決断した家族は、 「意思を示している限りは、 望み通りにしてあげたいという気持ちが一番だった」 などと当時の心境を明かした。
また、 救急医療の現場で、 医師が患者家族に臓器提供を提示しないことが、 日本の臓器移植の遂行を阻んでいるという点について、医師からは「家族を不快にさせてしまうことはあるが、提示することは、携わる者の使命。自分たちが、その一言を提示しなければ移植は進まない」などの意見が出た。