元宇宙飛行士の山崎さん 和大生にエール
元JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙飛行士の山崎直子さん(42)の講演会「宇宙・人・夢をつなぐ」が28日、和歌山市栄谷の和歌山大学(山本健慈学長)で開かれた。山崎さんは「宇宙は時の流れも含む。宇宙を学ぶことは世の中の全てを学ぶことと言っても過言ではない。宇宙と教養は同じかなと思う。オープンな心でいろんなことを吸収して、自分の道を切り開いて」と学生らに語り掛けた。
「時代と社会が求める深い教養と、他者とともに問題解決に取り組むことのできる実践力を持つ人材の養成」を目指し、同大学が昨年10月に設置した「教養の森」センター設置記念シンポジウムでの記念講演。
山崎さんは2010年スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、国際宇宙ステーション組み立てミッションに従事した。
山崎さんは、11年にわたった非常時を想定しての厳しい訓練や、宇宙での暮らし、宇宙旅行の今後について話すとともに、「子ども時代に一番長続きした習い事が習字でした」と紹介。
この習字がJAXA宇宙飛行士の応募条件の一つ「日本人としての教養をもっていること」を満たしたこと、米国留学時に日本文化を説明できず恥ずかしい思いをしたことを挙げ、「やっている時は分からなくても、後で直接的間接的につながっていく。どうつながっていくかは皆さん次第。日本人としての自分の足元を固めて」と話した。
また、宇宙ホテル構想などにふれ、「工学だけでなく政治、経済、国際協力などいろんな分野が必要。それらを有機的に結び付けていくのが教養ではないか」とした。
宇宙から見える地球の映像、上下のない宇宙空間ならではのエピソードも紹介し、「全ては相対的。当たり前と思っていたことが当たり前じゃない。いろんな見方で見てほしい」と話した。
熱心に聞いていた観光学部3回生の谷澤夏希さん(21)と森田麗葉さん(20)は、「宇宙のことばかりでなくいろんなことを勉強されてたんだと驚きました」と話していた。
講演後は、鰺坂恒夫学長補佐をコーディネーターに、山崎さん、山本学長、天野雅郎センター長、永井邦彦副センター長を交えてのパネルディスカッション「教養を、空の上から眺めたら…」も行われた。