中核市初の「子どもシェルター」開設へ 弁護士有志ら
家庭内の虐待などで居場所を失い苦しんでいる子どもたちの緊急避難場所となる「子どもシェルター」の設立準備が、和歌山市の弁護士有志らにより進められている。政令指定都市を除く中核市規模では全国初の取り組みで、今秋の開設に向けて理解を広げるため、23日に記念シンポジウムを開く。
子どもシェルターは、 家庭に居場所がなく、 既存の児童福祉施設には合わない子どもなどが対象。 児童相談所の一時保護所は満床が常態化し、 児童福祉施設は集団生活が主となるため、 虐待経験や障害のある子どもに十分な対応ができない実態があるという。
また、 少年事件を起こした子どもは、 家庭や施設での受け入れが困難と判断されると、 比較的軽い犯罪でも保護観察ではなく、 少年院に送致されるケースが見られるという。
子どもシェルターは平成16年6月、 東京に初めて開設。 その後、 名古屋、 横浜、 広島、 岡山、 京都、 福岡の各政令市にも設置され、 現在は札幌でも開設準備が進んでいる。
シェルターでは、 弁護士とスタッフが子どものケアに当たり、 家庭復帰や里親委託、 他施設への入所など、 その後の生活の可能性を探り、 支援していく。
和歌山に設立されるのは 「子どもセンターるーも」。 昨年3月から有志が準備を本格化し、 他施設の訪問、 福祉・医療など関係機関への協力要請などを進め、 先月27日にNPO法人の認可を受けた。
るーもは、 特に既存施設での受け入れが困難な性的虐待を受けた子どもらのため、 女子用の施設としてスタートする。 定員は6人程度で、 職員3人とボランティア、 弁護士で運営する。 今夏にもボランティアの養成講座を行う予定。
るーも広報担当の海堀崇弁護士は 「緊急避難が必要なのにできない子どものために、 何としても軌道に乗せたい。 和歌山で実現すれば、 全国の中核市で支援体制が組める実例になる」 と話している。
記念シンポジウムは23日午後1時から和歌山市栄谷の和歌山大学で。 夜回り先生水谷修さんの講演、 パネルディスカッションなどを行う。 無料。 申し込み、 問い合わせは朝日新聞厚生文化事業団 「子どもシェルター和歌山講演会」 係(℡03・5540・7446)へ。