梅産地の救済に全力 急斜面でも経済効果高
東日本大震災、 台風12号の災害から私たちは何を学ぶべきでしょうか。 科学や文明を上回る自然の底力の偉大さとの共存共栄を目指すことだと思います。 美しい海と山に恵まれた和歌山県での自然との共存共栄といえば林業・水産業と農業です。 ここでは農業について若干述べたいと考えます。
和歌山県では、 今回の災害で現場の実態を知らないお役人や政治家がつくった法律のせいで日本一の梅の産地がつぶれるかもしれない危機が起こりました。 その原因は昭和25年5月につくられた農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律で、 梅の育つ山々が経済効果の小さいものとされてしまったからです。 どうしてそんなことになってしまったのでしょうか。 およそ60年以上昔の法律を振りかざされて、 山岳地帯は経済効果が小さい、 と決め付けられてよいものでしょうか。 山岳農業が多いわが和歌山の地域経済の中心をおびやかされてはたまりません。
困った地元JA青年部のみなさんはバスで国会に要請に来ていただきました。 続いて知事や首長、 県議会も意見書を政府に提出、 こうした行動に私も協力、 同行しました。 さらに、 党の災害対策本部からも強い要請を出してくれました。 そこで、 やっと中央の人々が現地調査に入ってくれたのです。
ここでもうひと押し。
私は10月25日の災害対策特別委員会で質問に立ち、以下のことを訴えました。
「和歌山県には基幹作物として梅 (生産量全国一) とミカンがありますけれど、 実は、 急な山の斜面を利用活用して栽培しております。 ところが、 ここに大きな問題があります。 傾斜が20度を超える農地は経済効果が少ないものなりというわけで復旧対象外なのです。 例えば、 田辺市では89%が山岳地帯で、 20度以上の急斜面が少なくありません。 しかし、 そんな厳しい山のなかで昔から自然との共存共栄を大切にしてまいりました農家の方々は知恵を絞り、 梅づくりに励んだのです。 今回被害にあった20度以上の急斜面で梅を育てている方々が約6割もいらっしゃいます。 梅は急斜面の農地でも生産できます。 例えば、 漬け梅などを加工する場合、 熟した梅が木から落ちてくるのをネットで収穫する、 つまり、 急勾配を有効に利用した方法でやっております。 一反あたり米なら13万円に対して、 梅は50万円から90万円の生産高が見込まれるほど経済効果が高いのです。 そして、 20度以上の斜面の被災地が200カ所もあり、 今回の大災害では被害総額は1億円以上と言われております。 こうした被災地が復旧対象外にされてよいものでしょうか。 (中略) この和歌山県の農業の特殊性と伝統を無視されるというのは理屈が通りません。 (中略) この間もJAの若い方々が陳情に来られましたが、 次世代の農家を育成するためにも、 和歌山県の農業の歴史と特殊性を理解していただいて、 この急傾斜地の農業の見直しをしていただきたいというのが私のお願いであります」
農林水産省の森本大臣政務官から次のようなお答えをいただきました。
「おっしゃることはよくわかりました。 この政令の問題についても、 また皆様方の御意見をいただきながら、 今後変えていきます。 いまの段階の中でやるべきことについてはしっかりと尽くしてまいりますので、 現場をしっかり見て、 それで我々も前向きに努力させていただきますので、 よろしくお願い申し上げます」
つまり、 まずは 「救済外の傾斜度20度以上の斜面の災害農地を救う」。 次に 「今後、 法律を変えること」 の回答を引き出すことになりました。
またまた、 ことしの6月にあの紀南病院の存続法案を実現したときのようにムラムラと力が湧いてきたのです。
この答弁以降11月1日に農林水産省の幹部から傾斜度20度以上の災害を救う内容について、 国会で説明がありました。 大きく前進しました。 あとは、 政令を変えることです。
現場の実態を知らない、 古臭い役人の頭を変えてやろうではありませんか。
自然の底力を学び、 農業にはさまざまなパターンがあることを知らしめ、 傾斜20度以上の山岳地帯でも経済効果が高いことをアピールして、 僻地の災害復旧の対象を広げ、 救済に力を入れましょう。 傾斜が20度以上ある農地は経済効果が少ない、 などという政令を変えることに最後まで頑張ります。