商業教育功労で表彰 粉河高の坂中さん

 商業教育の発展振興に功績のある教職員をたたえる、全国商業高校長協会の「功労者表彰」に、県立粉河高校定時制教頭の坂中俊之さん(54)=かつらぎ町=が選ばれ、感謝状が贈られた。同協会は明治17年に制定した「商業学校通則」の130周年記念として、120周年から10年間の功労者に感謝状を贈呈。全国で約430人が対象となり、本年度、県内から初めて坂中さんが功労者に選ばれた。坂中さんは「賞は一人で頂いたものではない。生徒、教員、地域、行政の皆さんの協力があったからこそ」と感謝の思いを話している。

 坂中さんは昭和61年に商業科目の高校教諭に。青陵、笠田、県和歌山商業で教壇に立ち、平成22年4月から県和歌山商業の教頭を務め、ことし4月に粉河定時制に移った。同23年には商業科目のある高校で組織するNPO法人「県商業教育研究会」の顧問に就き、商業教育の振興に力を入れてきた。

 「商業を学ぶ生徒を元気に」。近年、商業科単独校の減少や中心市街地の衰退などで、和歌山の商業の活気がなくなりつつある中、生徒に商業を学ぶ意義を認識させようと、平成23年には、同研究会加盟校の販売実習で扱う商品を統一ブランド「なごみあきない」として商標登録した。

 商標登録することで商品の開発や運用、活用など、生徒に商品への責任感を持たせて本格的な販売実習が実施できる他、同研究会に加盟する各校で開発した商品を共有し、教材として活用できる。同研究会の商標登録の取り組みは全国初で、現在は他県でも行われ始めている。

 また集客、販売方法、在庫処理など、商品を売る難しさを味わい、販売できた時の達成感を生徒に体験してもらいたいと、地域や事業所と連携した販売実習に力を入れている。

 平成18年から行われている「商業教育フェスタ」では、商業学習の発表の場にしようと、当時、同研究会理事長として、産官学が連携しての開催に尽力。今では生徒が主体的に同フェスタを運営し、販売実習、成果発表会などを通して、地域交流や生徒間の情報交換までする場となっている。

 坂中さんは、長年商業教育に携わった経験から「机で学ぶだけでは、地域の人の声は聞こえない。社会の厳しさを知り、それを乗り越えた時の達成感を体験してほしい」と生徒にエールを送った。