駿河屋再生を 労組が署名呼び掛け
破産手続きを進めている老舗和菓子メーカー「駿河屋」の駿河屋労働組合(根田昌彦執行委員長)は、資産を切り売りすることのないよう求める署名活動を行っている。今後も和歌山の総本家駿河屋として和菓子を作りたい――。先行きの見えない中、「規模はどうなるか分からないが、一から出直せるチャンスがあれば」と再生への可能性にかける。
駿河屋は、保全管理人が財産の売却先を決める手続きに入っており現在、複数の企業が名乗りを上げている。また、県内の企業も再生を図ろうと支援を申し出ているという。駿河屋労働組合は16日、和歌山地裁と保全管理人に工場、店舗などの資産一式での購入の申し入れ書を提出している。
23日には、連合和歌山、JEC連合和歌山地連、同組合員ら約40人がJR和歌山駅前で街頭に立ち、「伝統ある和菓子産業の灯を消さないで。日本の良き文化を継承できるよう協力をお願いします」と仕事帰りの会社員、学生らに呼び掛けた。
同市紀三井寺の大学生、野中勝太さん(21)は「大福が大好きだった。なくなるのは寂しい」、同葵町の長﨑洋子さん(70)は「進物などにもよく利用していた。歴史があり、おいしいのでとても残念。再建してほしい」と声を上げていた。根田委員長は「和歌山で愛され、育てられてきた。同じ味を守っていきたい。和歌山に駿河屋を残し、『食べたい』と言ってくださっている声に応えたい」と話していた。
署名は連合和歌山などの協力も受け、現在7000人以上集まっている。26日に、和歌山地裁に提出する予定。