高島屋が閉店 南海市駅ビルで41年

 南海和歌山市駅ビルで41年にわたり営業を続けてきた老舗デパート「高島屋和歌山店」が8月31日、閉店の日を迎えた。同市中心部のにぎわいに長く貢献してきた施設の歴史に幕が下り、多くの常連客や周辺住民らが惜しんだ。

 この日は、高島屋で最後の買い物を楽しもうと、朝から約300人が列をつくった。閉店の午後6時が近づくと、買い物客らは、同店トレードマークのバラが印刷された紙袋を持ち、従業員に見送られ、名残惜しそうに店の外へ。店舗前には周辺住民ら約500人が集まり、最後のシャッターが降りる時を見守った。

 あいさつした中戸秀和店長は「お客さまの中には閉店発表後、従業員の次の勤め先などを心配してくださる方もいました。この8カ月間は本当に皆さまに愛されていると感じました」と話し、「従業員も最後まで頑張っていただき誇りに思います。残念ながら、和歌山島屋は閉店しますが、皆さまの心の中に留めておいてください」と最後を締めくくった。集まった人の中には、まちの成長とともに歩んで来たデパートの撤退に、涙を流す人もいた。

 同店は開店当初、大手デパートブランドを前面に、多くの市民らに親しまれてきたが、近年では、人口減少や市内への大型店の多数出店など環境の変化から、この10年ほどは赤字に悩まされ続けていた。

 閉店を見守った和歌山市畳屋町の岩本英子さん(75)は「子どもの成長とともに歩んできたデパートの閉店は悲しいし、閉店しなければならない状況になった市の現状が悔しい」と悲しんだ。

 市駅地区商店街連盟の森下幸生会長(58)は「ついにこの日が来てしまったという感じだ。今後も夏祭りなどで、周辺商店街として盛り上げていきたい」と話していた。

 高島屋撤退後のテナントには、1階にイズミヤ系食品スーパー「デイリーカナート」、2階に100円均一ショップ「ワッツオースリー販売」が26日に出店することが決まっている。

閉店を惜しみ詰め掛けた市民ら(円内はバラの紙袋)

閉店を惜しみ詰め掛けた市民ら(円内はバラの紙袋)