県の進むべき道は 国会議員6氏論戦
県内の国会議員6人が集まった新春恒例ラジオ番組「県出身国会議員座談会」が4日、和歌山市湊本町の和歌山放送で生放送され、県が抱える課題などについて2時間にわたって議論した。6人は防災対策の強化では一致したものの、経済対策については与野党で一部意見の相違がみられ、論戦となった。
アベノミクスについて、前年並みの売上高維持が厳しくなっているとの和歌山市内のデパート関係者の話が紹介されたことを受け、鶴保庸介参院議員(自民)は「大手デパート本体をみると、外国人観光客への免税制度もあり空前の売上高だといわれている」とし、「市内のデパートが調子が悪いことを景気のせいにするのは違う」と述べ、企業努力の必要性を訴えた。
門博文衆院議員(自民、近畿比例)は「アベノミクスはみんなが同じ条件で、同じ利益を享受できたらいいが、業種やビジネススタイルによって違う」とし、「輸出を中心にした企業からは『収益構造が良くなった』、海外に生産拠点がある企業からは『あらためて生産拠点を国内にもってこれるか考えられるようになった』という声を聞いている」と話し、着実に円安効果が表れていることを強調した。
一方、岸本周平衆院議員(民主、1区)は「アベノミクスは2013年、アナウンスメント効果があり、一の矢『金融政策』、二の矢『財政政策』で実質GDPが2・3%成長し成功したと思う」とした上で、「しかし、昨年は厳しかった。結局円安政策は、プラスとマイナス効果が打ち消し合う性質があるためうまくいかない。実質賃金が15カ月マイナスという形で表われている」と述べ、アベノミクスを一部批判した。
石田真敏衆院議員(自民、2区)は県内の働く場の創出について言及し、「地方に働く場をつくるには、一つは既存産業のブラッシュアップが必要。県を支えてきたのは農林水産業や地場産業、建設業、小売り商業。そこに医療や介護があった。それを見直してもう一度やろうということが大切」とし、「農業では6次産業化や輸出の動きも出てきているので、そういうことをみんなで進めていくことが必要と思う」と今後、県が進むべき方向性について見解を示した。
二階俊博衆院議員(自民、3区)は、自民党が掲げている「地方創生」についてふれ、「国から予算が配分されていくというものではなくて、地方から『この政策はどうだ』と国に認めさせるもの。今までのように予算を待っているだけでは駄目で、どうしたら政策に実行できるか、将来の建設に結び付くかを考えないといけない。そういう時代だと思う」と、地方から国への政策提案強化の必要性を述べた。
世耕弘成参院議員(自民)は、地域活性化の実現について「われわれが見誤っていたのは、『製造業神話』だった。工場誘致できても、よく考えると今はハイテク工場で数人の管理者がいるぐらい。だから視点を変えて、地方の場合、サービス業など非製造業で活性化を考えなければならない」とし、「国内の非製造業生産性は米国の半分、フランスよりも低い。ここに改革のメスを入れることができれば、国としても応援したい」と話した。