性的少数者に理解を 自助Gが講演会

人口の5%はいるといわれるセクシャルマイノリティー(LGBT)。そうした性的少数者と呼ばれる人たちへの理解を深めてほしいと、県内唯一の自助グループ「チーム紀伊水道」は7日、和歌山市内で講演会「となりにいるよ~遍在するさまざまなジェンダーを知ろう・気付こう」を開く。代表の衛澤創(えざわ・そう)さん(44)は「さまざまな性の人がいることを知ってもらいたい。興味本位でもいい。まずは関心を持ってもらえたら」と呼び掛けている。

チーム紀伊水道は、同性愛者や両性愛者、性別違和を持つ人など、さまざまなセクシャルマイノリティーの人たちの相互の理解を深めようと平成16年に発足。2カ月に1度、和歌山市内で交流会を開き、メールでの相談にも応じている。当事者以外に、理解したいという人の参加もできる。

衛澤さん自身も性同一性障害で、女性として生まれたが、性別適合手術を受け現在は男性として生活している。

チーム発足のきっかけは、通院先の医師から「あなたと同じような境遇の方がいるので、相談に乗ってもらえないか」と言われたこと。県内には自助グループがなかったので、気軽に話し合える場をつくろうと数人で立ち上げた。

同性婚が認められている北欧をはじめヨーロッパ諸国に比べて、日本ではセクシャルマイノリティーへの理解が低いのが現状。背景の一つに、性についての教育が行き届いていない点があるという。例えば、学校で習う教科書の「思春期には異性に興味を持つ」といった表現に、同性に関心のある生徒が苦しめられることもある。

「教えないから偏見を生む。セクシャルマイノリティーに関する情報にふれる機会が少なく、多くの人が、日本のどこかにいるけれど自分のそばにいるとは思っていないんです」

多様な性を正しく理解せず、性同一性障害と同性愛者を混同している人も多い。断片的な情報だけで、「ゲイはみんな女言葉を話す」などと、それぞれの既成概念に当てはめて誤った捉えられ方をすることも。性的志向は個人の選択ではなく、生まれ持ったものであるのに、理解されない苦しさもあるという。

講演会は午後2時から、小人町の男女共生推進センターで開催。元女子フェンシング日本代表で、性同一性障害であることを公表し、自叙伝『ダブルハッピネス』を出版、支援や啓発に取り組む杉山文野さん(東京都)を招く。衛澤さんは「まず興味さえ持ってもらえれば、知っていくことはそれほど難しくはない。多様な生き方が認められる社会になれば」と話している。

無料。事前申し込み不要。問い合わせはチーム紀伊水道(℡080・3857・0898、メールkii.suidoh@gmail.com)へ。

衛澤さん㊧と杉山文野さん

衛澤さん㊧と杉山文野さん