2060年の人口70万人確保へ 県が総合戦略
仁坂吉伸知事は8日、2060年に確保する県人口をおおむね70万人に設定した「県長期人口ビジョン」と、その実現に向けた具体的施策などを示した「県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成27~31年度)を策定し、発表した。雇用創出、県への「人の流れ」創造など、5つの基本目標を設定し、人口減少の抑制に向けた取り組みと、時代に合った地域づくりを戦略的に実行していく。
昨年、国で成立した「まち・ひと・しごと創生法」に基づき、4月7日に「県・まち・ひと・しごと創生総合戦略本部」を設置して地方版総合戦略の策定作業を進めてきた。
同ビジョンによると、現在の人口は約96万6000人だが、対策を講じなければ2040年には約70万人、2060年には約50万人に激減。高齢者1人をおおむね現役世代1人で支える人口形態になるという。
そこで「高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態」を達成するため、2060年に70万人の確保を目標とした。
総合戦略の基本目標は、①安定した雇用を創出する②県への新しい「人の流れ」を創造する③少子化を食い止める④安全・安心な暮らしを実現する⑤時代に合った地域をつくる――。①は5年間で4000人の雇用の場を確保、②は直近5カ年の転出超過累計数を今後5カ年で半減させる、③は合計特殊出生率を平成31年に1・80(26年1・55)、④は津波による犠牲者ゼロとそれを目指すための必要な対策をおおむね10年で完成させる、⑤は拠点都市相互を高速道路ネットワークで結ぶ、などの具体的目標を設定している。
会見した仁坂知事は「70万人を死守できれば何とか社会をマネージ(管理)できていく。和歌山県の魅力を知らない人が県外に行ってしまう、という状況は少なくとも止めよう」と述べた。各市町村でもそれぞれ総合戦略の策定作業が進んでおり、「自分のまちの特色を生かして、良いものを作ってほしい」と期待し、「(人口対策は)もちろん役場の人だけの仕事じゃない」と県民に協力を呼び掛けた。
県は今後、半年に1回ほど戦略の進ちょく状況を把握していく。