桐蔭高科学部が準V 缶サット甲子園2015

 高校生が空き缶サイズで製作した模擬人工衛星を上空に打ち上げ、データ収集などの技術力を競う全国大会「缶サット甲子園2015」が先月、秋田県秋田市の太平山リゾート公園で開かれ、和歌山市吹上の県立桐蔭高校科学部チームが準優勝した。

 缶サットはロケットで打ち上げ、上空約80㍍でロケットから分離。パラシュートが開いて落下する間に、搭載した物理データ取得センサーで気温や気圧、落下時の動きなどの情報を取得する。

 大会では、各チームが実施予定のミッションを説明した資料を事前に提出し、事前・事後のプレゼンテーション、打ち上げ(競技)を含めた4項目で審査。アイデアの斬新さやその達成度などを重視して評価した。

 大会はことしで8回目。今回は10校が参加し、唯一の8年連続出場となった桐蔭からは、科学部「缶サット班」のいずれも2年生、太田裕紀部長(16)とプログラムを担当した水上慧悟君(16)、組み立てなどを行った山本翔大君(16)が出場した。

 大会の2日前、缶サットの整備中、搭載したセンサーのほとんどが機能しなくなるトラブルが発生。予備パーツがない状況ながら、太田部長と水上君が必死で修理し、当日の朝に間に合わせた。

 「できることは全てやった」(太田部長)との思いで臨んだ本番。打ち上げは無事に成功し、パラシュートと落下時の衝撃から缶サットを守るエアバッグが展開。太田部長が考案したエアバッグは、ファンで袋を膨らませる仕組みで、ファンの回転で缶サット全体が回らないよう、パラシュートには逆回転するように穴を開けた。全体の回転を押さえて安定した状態で着地させ、正確なデータが取得できたという。

 落下時の動きの解析には、今大会のために水上君が製作した落下状況再現ソフトを使った。同ソフトには、グーグルマップを基に半径1㌔圏内の地形データをあらかじめ入力し、缶サットが落下する状況を、三次元で自由な角度から見られるようにした。

 唯一の連続出場校として技術力の高さを発揮し、堂々の準優勝。しかし太田部長は「準優勝はとても悔しい。次は視点や発想を変えて、来年はどこまでシンプルにできるか挑戦したい」と話し、惜しくも逃した頂点に意欲を見せている。

準優勝した桐蔭高校科学部

準優勝した桐蔭高校科学部