リウマチ・膠原病科を新設 県立医大病院

県立医科大学付属病院(和歌山市紀三井寺)は8日、新たに「リウマチ・膠原(こうげん)病科」を1日付で開設し、「リウマチ・膠原病センター」として、19日に診察を開始すると発表した。リウマチや膠原病は、体全体に複数の症状が現れる全身性自己免疫疾患で、多くの診療科の連携が不可欠とされる。同医大では総合病院としての強みを生かし、県内のリウマチ・膠原病診療の中心施設を目指す。

代表的な膠原病には、関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎などがあり、血液症状や関節障害、腎臓機能の低下などを引き起こす場合がある。これまでは、整形外科や皮膚科、内科系診療科など、各診療科で診療していたが、県医師会などから専門科設置の要望があり、開設の運びとなった。

同医大によると、関節リウマチは人口の0.8%、女性では1%が罹患(りかん)。SLEは、1000人に1人の割合で患者がいるとされる。リウマチ・膠原病専門医は全国に4327人(日本リウマチ学会統計)いるが、県内は26人と少なく、診療の整備が進んでいない現状があるという。

8日、リウマチ・膠原病科を担当する藤井隆夫教授(52)と吉田宗人院長が同医大で記者会見した。藤井教授は内科医で、慶應義塾大学大学院医学研究科を修了。平成11年に日本リウマチ学会認定専門医に、20年には日本リウマチ学会指導医に認定。京都大学大学院医学研究科リウマチ性疾患制御学講座特定教授などを経て今月、同医大に着任した。

現時点では同科は専門医の藤井教授1人だが、今後増員予定。他の診療科と連携を図りながら共同で診療に当たる。

吉田院長は「疾患が多岐にわたるため、多科が連携できる大学病院の強みを生かすことができ、県民にとってもプラスになるはず」と話し、藤井教授は「和歌山ではこれまで(膠原病について)専門性が低く、患者さんも不安な面が多かったと思う。情報面でもできる限り発信し、これまで診療に当たっていた他の診療科と病院全体で連携していきたい」と話していた。

会見する吉田院長㊨と藤井教授

会見する吉田院長㊨と藤井教授