6人1団体に 県文化表彰の受賞者決まる

 県の文化向上や発展に貢献した人に贈られる、平成27年度県文化表彰の受賞者が決まった。本紙エリアからは、文化功労賞に和歌山市出身の声楽家・斉藤言子(ことこ)さん(60)=兵庫県=、文化奨励賞に同市出身の俳人・堀本裕樹さん(41)=東京都=、下津町(現海南市)出身のゴルフ写真家・宮本卓さん(58)=東京都=、和歌山市の日前宮(日前宮薪能)が選ばれた。   【写真は県提供】

 この他、文化賞に密教学者で高野山真言宗総本山金剛峯寺第412世座主の松長有慶さん(86)=高野町=、文化功労賞に田辺市出身の作家・大路和子さん(80)=大阪府=、京都府の大佛師・松本明慶さん(70)が選ばれた。

 本表彰は昭和39年度に始まり、今回で52回目。30日に県庁本館で表彰式が行われる。本紙エリア受賞者の主な経歴と功績は次の通り。

 【斉藤言子さん】神戸女学院大学音楽学部声楽専攻を卒業後、同大同学部研究生を修了。日本やイタリア、アメリカ各地でオペラ主演、リサイタル、オーケストラとの協演など、多数の演奏会で好評を得た。現在、神戸女学院大学学長。NHK全国学校音楽コンクール、県合唱コンクールなどの審査員を務め、後進の育成指導にも尽力している。

 「年を重ねるにつれ、ふるさと『和歌山』への思いが強まるばかり。和歌山の文化のますますの発展にお役に立つことができればと願っております」とコメントしている。

 【堀本裕樹さん】國學院大学在学中に鎌田東二師範の「國學院俳句」に入会。出版社勤務やコピーライターを経て、角川春樹主宰の俳句結社「河」に参加した。独立後、平成24年発行の句集『熊野曼陀羅』では、収録句全てで自身ゆかりの熊野を詠み尽くし、平成25年に同句集で俳人協会新人賞を受賞。文芸雑誌『すばる』では、お笑い芸人の又吉直樹氏に俳句を教える講義スタイルの対談連載をスタートさせた。

 「幼いときから無上の喜びをもって山河に遊んだ体験が、郷愁となり私の詩嚢(しのう)となったのです。私を育ててくれた和歌山に、父と母に心より感謝致します」とコメントしている。

 【宮本卓さん】神奈川大学卒業後、アサヒゴルフ写真部に入社。フリーのゴルフカメラマンとして独立し、海外で活躍。近年は世界のゴルフ場の撮影に力を入れ、ゴルフ雑誌やメディアで活動。平成23年には活動の拠点を日本に戻し、日本の四季の素晴らしさを国内外に発信している。

 「生まれ故郷で受賞する文化奨励賞は大変誇らしく、今後の活動の励みとなります。2020年の東京オリンピックという新たな目標を掲げ、日本の美しいゴルフ場やそこで繰り広げられるドラマを世界に発信し世界を感動させられるようまい進してまいります」とコメントしている。

 【日前宮(日前宮薪能)】昭和51年に境内で「薪能」を開始。以来、40年という長きにわたり「和歌山の文化発展、地元への恩返しに」と、無料で伝統芸能に親しんでもらう機会を提供し続けてきた。伝統芸能の継承が全国的な課題となる中、さらなる歴史の積み重ねや発展が期待されている。

 日前宮では「今後も和歌山のさらなる文化振興と、伝統芸濃の継承に寄与できるよう尽力してまいります」とコメントしている。

左から、宮本卓さん、堀本裕樹さん、松本明慶さん、斉藤言子さん、大路和子さん、松長有慶さん

左から、宮本卓さん、堀本裕樹さん、松本明慶さん、斉藤言子さん、大路和子さん、松長有慶さん


日前宮(日前宮薪能)

日前宮(日前宮薪能)