根来寺根来塗の瓶子奉納 丹生都比売神社に
岩出市で根来寺根来塗の復興に取り組む根来寺塗師の池ノ上曙山さん(56)は23日、その年の収穫に感謝する新嘗祭に合わせ、かつらぎ町上天野の世界遺産「丹生都比売(にうつひめ)神社」(丹生晃市宮司)に根来寺根来塗の漆器「瓶子(へいし)」一対を奉納した。
瓶子は壺の一種で、主に酒器として用いられる。奉納した瓶子は高さ29㌢、直径23㌢の朱色の漆器で、肩から下部にかけてゆるやかにえぐれた日本独特の形状をしている。瓶子の製作は、国際ソロプチミスト和歌山が一部協賛した。
池ノ上さんは、室町時代に隆盛を誇った根来寺発祥の根来塗の再興に取り組み、豊臣秀吉の根来攻めにより生産が途絶えていた「根来寺根来塗」を約400年ぶりに復興。平成12年には同寺から根来寺塗師に認定された。池ノ上さんが手掛ける漆器は、中世の根来寺山内で用いられた伝統技法を再現しており、県郷土伝統工芸品の指定を受けている。
今回の奉納について池ノ上さんは「400余年の時を超えて復興した根来寺根来塗と、1700年続く丹生都比売神社の歴史が交わり、ともにこれからの時を刻んでいく始まりの瞬間で感慨無量。これからも県の伝統工芸を守り育てていきたい」と話している。