昨年度末で基金の4割残る 紀の国森づくり税
開会中の県議会定例会に、県が実施期間を5年間延長する条例改正案を提出している県税「紀の国森づくり税」。同税を積み立てる「紀の国森づくり基金」は、基金を活用して行う公募事業の採択件数が減少傾向にあり、平成22年度末で基金の4割が残っている。県の森林整備課は「公募事業の予算は毎年1億円で、ここ数年は届いていなかった。宣伝が足りないところもあった」としている。
県森林整備課によると、同税は、森林環境の保全と、森林と共生する文化の創造に関する事業のために平成19年に創設した。個人からは県民税均等割を納める人を対象に年間500円、県内に事務所や事業所を持つ法人などからは均等割額の5%を徴収している。
当初は5年間の実施を予定し、約13億円の税収を見込んでいた。公募事業は、平成19年56件、20年83件と増加していたが、ここ数年は50数件となり、採択額は年々減少している。22年度までの積立額は約10億2100万円、残額は約3億9000万円となっている。
高田由一議員(共産)は一般質問で、「低所得者ほどますます負担増となることから、5年間延長には反対の立場を取らざるを得ない」と批判した。公募事業採択件数の低迷については、間伐などの森林整備が伸びなかったことが要因として考えられ、増谷行紀・農林水産部長は高田議員の一般質問に対し、「間伐作業には専門的な技術が必要であることから、公募事業では取り組みが難しかったのでは」と述べている。
全国の森林環境税は、県が同税を導入した際は16県で導入されており、実施期間を設けていた県全てで更新されているという。県は今後、県主体で基金を活用した間伐事業を重点的に行っていくとしている。