伊勢路旅③三重県南牟婁郡御浜町

前号では、一味違う柑橘(かんきつ)の味わいを楽しめるマイヤーレモンの産地である紀宝町について取り上げた。今週は隣町の「御浜(みはま)町」の魅力を紹介したい。
御浜町は三重県南牟婁郡に属する人口約9100人の町。温暖な気候を生かし柑橘類栽培が盛んで、「年中みかんのとれるまち」というフレーズを前面に掲げ、年間を通してミカンの出荷が行われている。紀宝町と合わせ、マイヤーレモンの主要な生産地である上、国内で唯一の産地というサマーフレッシュの生産も盛ん。

サマーフレッシュとは、ハッサクと夏ミカンを交雑して作られたもの。5月に実がつき1年をかけて木の上で肥大し、6月から9月に出荷するという特異な品種。糖度は12%程度と甘いが酸度も高いため、さっぱりとした味わいを楽しめるという。「年中みかんのとれるまち」の由縁はここにある。

国道42号沿いにある「道の駅パーク七里御浜」は立ち寄り地としてお薦め。地元の野菜や柑橘、地魚を販売するコーナーがあり、時季に応じたさまざまなミカンを手に入れることができる。

同駅の向かい側には、町名の由来でもある七里御浜(しちりみはま)が広がる。七里御浜は、熊野市から紀宝町にかけての熊野灘に面した砂浜で、約22㌔に及ぶ。熊野古道伊勢路の「浜街道」として古くから信仰の道として親しまれてきた。

5月から9月にかけては、アカウミガメが産卵のために上陸する。荒波が押し寄せるため砂浜は短めで、砂利が多いのが特徴。遊泳はできないが、どこまでも続く長い浜辺と、太平洋の大海原を一望でき、疲れを癒やしてくれる。種類豊富なミカンと伊勢路「浜街道」の魅力にふれられる御浜町を訪れてみては。

七里御浜と道の駅を望む

七里御浜と道の駅を望む

(次田尚弘/御浜町)