新市民会館と薬学部 伏虎中跡地の基本構想
小中一貫校の建設に伴い空き地となる和歌山市中心部の市立伏虎中学校跡地について、市は活用基本構想を明らかにした。移設を予定する新市民会館「(仮称)市民文化交流センター」について尾花正啓市長は、現市民会館と県民文化会館の平成26年度土日祝日の各ホール稼働率が74~95%と高いことを示した上で、「市民会館の廃止は不可能であり、県民文化会館との機能分担を図り、市民会館を存続させる必要がある」と強調した。
市の発表によると、現在の市民会館は昭和54年の開館から37年が経過し、耐震工事が必要な他、雨漏りや配水管の腐食など老朽化が進んでおり、現施設での耐震化と設備更新で対応した場合は建て替えと同規模の費用が必要になると試算。建て替えの場合は、国庫補助金の活用により市財政への負担を大幅に軽減できるとし、現地建て替えの場合は約3年の休館が必要になる一方、移設なら休館が不要で、まちなかに文化・にぎわいの拠点をつくれるとして、有効性を説明している。
基本構想では、新市民会館は、1階を物販や飲食店などのテナントが並ぶ商業フロアとし、施設と合わせて利用者が回遊できる場所にする考え。ホールは、市民からの中規模ホール設置要望を受けて中ホール(800~1000席)と多目的ホール(400~500席)の2ホールを設置する案を検討。展示室やリハーサル室、茶室、会議室なども設置する。
県が進める県立医科大学薬学部の新設については、新市民会館の北側の敷地に誘致するイメージを示した。県が発表した薬学部の概要は、6年制の薬学科(薬剤師国家試験の受験資格)を設置し、収容定員600人(入学定員100人)。開学は平成33年4月を予定している。
尾花市長は、看護大学誘致の新たな構想も明らかにし、まちなかのにぎわい創出や、県外進学による若い世代の流出防止に向けて大きく舵を切る施策であることを強調した。