男性の介護参加を考える りぃぶる講座
近年の男性介護者の増加に伴い、さまざまな問題が顕在化する中、男性の介護を考える講座が12日、和歌山市手平の県男女共同参画センター〝りぃぶる〟で開かれ、8人が仕事と介護の両立などについて意見交換した。
〝介護離職ストッパー〟として、介護と仕事を両立させる社会づくりを目指すスタート・ケア代表・内橋康彦さん(44)=奈良県生駒市=が講師を務めた。
厚生労働省の平成22年調査によると、男性の介護者は全介護者の約3割を占め、約130万人。内橋さんは講演で、50代の割合が40%近くで最も高く、これまで女性が担うことが多かった家族の介護も、男性の割合が増えてきた現状を紹介。男性介護者の問題として、家事などの経験不足、地域との交流の希薄さ、弱音を吐けず、ストレスを抱えてしまうことなどを挙げた。
参加者は4人のグループに分かれ、テーマに沿って意見交換。JRの認知症訴訟や介護虐待、介護と仕事の両立などについて、体験談や考えを自由に議論し、話し合った内容をまとめて発表した。「介護の良いところ・楽しいところ」の演題では、つらいことばかりではなく、介護者にとって心の充足が得られるなどの意見も出た。
内橋さんは「地域と積極的に関わっていくことも重要。制度をうまく使いながら、一人ひとりが主体的に関わる動きが広がれば」と話した。参加した、高齢者福祉に携わる同市中之島の柏木克之さん(60)は「皆さんの話を聞き、しんどいと思いながら困っている人が多いと感じました。男性の介護は日本が直面している大きな問題。具体策を考え、それを支援する仕組みをつくらなければいけないと、あらためて実感しました」と話していた。