「商いは人の道」 たねや山本社長が講演
和歌山経済同友会(大桑○嗣、樫畑直尚代表幹事)主催の講演会が18日、和歌山市のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)で開かれ、菓子の製造・販売などを手掛ける㈱たねや(滋賀県近江八幡市)の山本昌仁社長(47)が「真似されてこそ本物!今に生きる近江商人魂」をテーマに経営哲学を語った。
同社は和菓子部門「たねや」と洋菓子部門「クラブハリエ」による製菓事業をはじめ、保育園や滋賀県知事認定職業訓練施設の運営なども行っている。
「商いは人の道である」と考えている山本社長は、菓子の素材を農家に求める時には、良い材料であれば高価でも買う。塩分や握り方の強弱を、食べる状況に合わせて変えられるおにぎりと同じように、商いも相手のことを考えることが大切だと話す。
追究してきた和洋菓子の材料へのこだわり、社会活動で目指している「自然に学ぶまち」を表現する施設として、ことし6月には「ラ・コリーナ近江八幡」をオープンする予定。ラ・コリーナはイタリア語で「丘」の意味で、自然豊かな3万5000坪の敷地に和洋菓子の店舗や農園、本社施設などが配置されるという。
同社は社員教育にも確かな理念をもって取り組み、マニュアルで接客するのではなく、「情報過多の時代においては自分の考えを持って行動することが最高の発信力である」と指導していることなどを紹介。「和菓子で誕生日を祝ってもらう人がほとんどいない現代日本で、一見不利な和菓子屋が事業を展開してきた。今を生きるために、時代の変化を素早く察知して行動することが大切。今後は育ててもらった近江八幡市を、誰もが住みたいまちにしたい」と力強く語った。
樫畑代表幹事(58)は「たねやさんが実践されている、郷土愛をビジネスに反映していくことが、和歌山でも課題になりますね」と話していた。
※文中○印は土へんに育