再犯率の低下目指し 職親プロジェクト発足
企業と連携して元受刑者に職場を提供することで、円滑な社会復帰を支援する日本財団の「職親(しょくしん)プロジェクト和歌山」が発足した。県内15の企業が参加。少年院や刑務所出所者に最長6カ月の就労体験を提供し、再犯率低下の実現を目指す。大阪、東京、福岡に次いで全国で4番目の発足となる。
発足式は15日、和歌山市七番丁のダイワロイネットホテル和歌山で行われ、日本財団の尾形武寿理事長は「出所者の再犯防止には生活の基盤と、自分を親のように抱いてくれる人の存在、立ち直ろうとする出所者の心の持ち方が最重要」と、戦後70年で失われたといわれる心の豊かさに言及。これからの社会について「青年らが日本のために懸命に働ける環境をつくるため、このプロジェクトをさらに進めたい」とあいさつした。
法務省によると出所者再犯率は、無職者29・8%に対し有職者は7・5%。仕事があり「自分の居場所がある」と思える人は犯罪を繰り返さないという。
出所者の雇用主として協力する企業は現在15社あり、同プロジェクトの事務局を務める、ビルメンテナンス業の大揚興業㈱の村田弘至代表取締役社長は、現在は技術を有する人を中心に雇用しているため、社員の平均年齢が60歳であることを紹介。その高齢化が見込まれる今後は、若年社員への技術指導が必要となるが、「やる気があれば出所者であることは問題ない」と話した。
和歌山刑務所で篤志面接委員を務めている弁護士の大川哲次さんの「塀の中で受刑者に人との付き合い方や人生のあり方を説いている。企業には塀の外で同様の役割りを担ってほしいが覚悟はあるか」という問いに対し、協力企業である㈱信濃路の西平都紀子代表取締役社長は「喜んでお受けします」と応じた。
出所者20人の雇用実績のある千房㈱(大阪市浪速区)の中井政嗣代表取締役は「出所者の履歴などを伏せないことで出所者がのびのびと働け、当社の雇用状況が報道されることで活動が広がった」と、取り組みをオープンにすることの意義を強調した。
県内の協力企業は次の通り。かっこ内は代表者名。
㈱信濃路(西平都紀子)▽南海砂利㈱(上田純也)▽㈱KEGキャリアアカデミー(角野寛典)▽ユタカ交通㈱(豊田英三)▽ライフアクセス㈱(同)▽㈱鎌田鉄筋工業(鎌田厚)▽東和冷機㈱(中谷晃也)▽トップランド(金谷光洋)▽㈱明成(神農智也)▽奥谷工業(奥谷敦)▽初島電設㈱(竹村克治)▽良誠工業㈱(中山勝裕)▽大揚興業㈱(村田弘至)▽明光電機㈱(谷崎博志)▽㈱スーパーサンワ(和田訓昌)