水野家の家紋入り瓦 十番丁で発見
ビルの新築工事に伴い、4月中旬から和歌山市十番丁で行われていた公益財団法人市文化スポーツ振興財団埋蔵文化財センターの遺構調査で、紀州徳川家の付家老(つけがろう)、水野家の家紋が入った瓦が十数点見つかった。
場所は和歌山城の北に位置し、調査面積約370平方㍍。周辺一帯は、かつての和歌山城の三の丸に当たり、調査地は江戸時代、水野家の屋敷があったとされる。14年前に周辺で行われた発掘調査でも、水野家の家紋入りの瓦が数点見つかっている。
今回見つかった瓦は、軒先にある文様入りの丸い軒丸瓦で、直径約15㌢。水野家の家紋の立ち沢鷹(おもだか)が刻まれている。
調査地南側の、江戸時代中期から後期に掘られたとされる直径1・5㍍ほどの土坑から、陶磁器などの日常雑器や瓦片、貝殻などと共に出土。その他、建物の礎石跡や庭の一部と見られる遺構も確認された。
担当する同センターの藤藪勝則学芸員(41)は「約3000坪あったとされる水野屋敷の中でも、どの位置に建物があったかなどを推察する手掛かりになり、これまでの調査と合わせて、屋敷地の様子が明らかになりつつある」と話し、今後も浅野家から徳川家にかけての武家屋敷の整備など、三の丸の土地利用について調査を進めていくという。