海上の急患輸送を訓練 海南海保と下津消防
海南海保の巡視艇「わかづき」の乗組員10人と下津消防署の救急隊員10人が参加。沖合の同巡視艇(長さ約32㍍、幅約6・5㍍)の船上でペンキを塗っていた乗組員が体調不良を訴え、海上保安庁に急患搬送の依頼があったと想定し、下津消防署の救急隊員と連携して病院へ輸送する訓練に取り組んだ。
船上に駆け付けた救急隊員らは、急患の乗組員に「動かしますよ」などと声を掛けながら担架に乗せ、ベルトで固定。甲板の狭い通路では素早く担架を引いて移動させ、船尾では担架にロープを取り付け、滑らせるようにして小型の監視取締艇「あるでばらん」に移した。
わかづきの田中秀人船長(40)は「船から船への移動は時間がかかるほど危険なので、方法を決めて素早く動くことが重要」と強調。宮城県の震災被災地での救援活動の経験から「被災する前に救援体制をつくる必要がある」と話し、「救護法などについては、消防の方からアドバイスを頂きたい」と、一層の連携強化を呼び掛けた。
訓練を終えた救急隊員の名高祐司さん(22)は「陸上とは異なり、船上は狭く、揺れるので、搬送が難しかった。海保と消防が協力し、これからも良い方法を考えて訓練に励みたい」と話した。
和歌山下津港内の視察も行った救急隊員らは、海上に「地ノ島」や「沖ノ島」が見えると「地図で見たことはあったが目で見るのは初めてで貴重な体験」などと話し、両機関の交流も深めていた。