日本生物学五輪 向陽高の工藤君が3位
高校生以下を対象とした全国規模の生物学コンテスト「日本生物学オリンピック2016」で県立向陽高校環境科学科3年の工藤達実君(17)が総合第3位に輝いた。工藤君は「筋道を立てて考えたことが評価されたのだと思う。昨年は悔しい思いをしたので、結果が出せてうれしいし、自信にもつながった」と笑顔で話している。
同コンテストは、国際生物学オリンピック日本委員会が主催。7月17日に全国でマークシート試験による予選が行われ、その上位80人が8月19~22日に茨城県の筑波大学で行われる本選に参加できる。
工藤君は2年生だった昨年、同コンテストに初参加したが、残念ながら予選落ち。理科は好きだったので、学校の生物の授業に一層真剣に取り組み、2度目の挑戦で本選への出場を果たした。
本選では実験と、関連した記述問題が出題された。植物生理学、動物生理学、発生生物学、分子生物学の4分野から出題され、一日2題、2日間にわたって取り組む。
工藤君は高校では理学部に所属し、実験経験が豊富だったため、実験はスムーズに行えたが、選考では問題文の通りに実験、観察するだけでなく、工夫が求められる。ウニの卵を顕微鏡で見る問題では、プレパラートを作ろうと卵にカバーガラスをかぶせたところ、卵がつぶれてしまい、きれいにスケッチができなかったという。「カバーガラスの間に隙間を作ればよかったと後から気づいた」と少し悔しそうに振り返る。
試験後は同大学内の研究室を見学。植物の二酸化炭素吸収量と人間の呼吸量を測定し、人間1人分の呼吸に必要な酸素をつくる草地の面積を算出する体験もし、参加者同士の交流を深めた。
しかし、台風の接近により表彰式は中止に。3位という結果を知ったのは、帰りの新幹線でのことだったという。一人で喜びをかみ締めて和歌山に帰り、会場で渡された箱を開けると、表彰状とウニの仲間であるヨツアナカシパンが埋め込まれたメダルが入っており、うれしさが込み上げてきたそう。
今後の目標について、工藤君は「はっきりとは決めていないが、大学に行って面白いと思うことを突き詰めていきたい」と話し、理学部顧問の坂口美紀さん(38)は「普段から探究心が旺盛な生徒でしたが、このような結果につながって驚いた。後輩の目標になる先輩になってくれたら」と期待を寄せた。