空き家問題解決を 和歌山市が対策協設置

 今後大きな社会問題となることが予想されている空き家の対策を進めるため、和歌山市は5日、新たに設置した有識者らによる「市空家等対策協議会」の初会合を同市西汀丁の市勤労者総合センターで開いた。協議会の議論や市民からの意見募集を経て、市は本年度中に「市空家等対策計画」の公表を目指す。

 市の人口は昭和60年の40万人台をピークに減少に転じ、最近の5年間で約5000人減った。現在は36万人台となっており、2040年には、約28万人まで減少することが予測され、空き家の増加が危惧されている。

 市が平成27年度に本町、城北など中心市街地を中心とする11地区で空き家調査したところ、3万3187軒のうち1444軒(4・4%)が空き家で、そのうち、放置すると倒壊や衛生上有害となるなどの恐れがある特定空き家の候補は391軒(1・2%)確認された。

 協議会は法務、不動産、建築、住民、行政など各分野の11人の委員で構成し、会長には、和歌山大学で空き家調査の実績がある、徳島大学大学院の小川宏樹教授が選任された。

 初会合では、人口減少や空き家の増加が今後、市のまちづくりに大きな悪影響を及ぼすとの考えでは一致したが、不動産業界の委員は賃貸住宅の需要の視点から発言し、「新築住宅価格が低下し、賃貸から住宅購入に流れが移っており、これが賃貸住宅の空き家増加の原因」と地域経済にも問題の要因があることを指摘。別の委員も「賃貸は(需要の)飽和状態が崩れかけているのに、(賃貸以外の)空き家対策をされると、問題が次々と起きることになる」と懸念を表明するなど、取り組みの難しさが浮き彫りになった。

 市は今後、12月ごろに第2回協議会を開いた後に「市空家等対策計画案」のパブリックコメントを実施。来年2月に第3回会合でさらに議論した後、同計画を決定して、3月中の公表を目指す方針。

会長に選ばれ発言する小川教授

会長に選ばれ発言する小川教授