伊勢路旅(41)三重県伊勢市⑤

ことし1月から40週にわたり、熊野古道・伊勢路に面した三重県内5市8町の魅力と紀州とのつながりや歴史を紹介してきたが、ついに最終目的地「伊勢神宮」に到達。伊勢路旅の軌跡を振り返りたい。

本コーナーの企画は昨年9月までさかのぼる。「伊勢志摩サミット」を前に、国内外へ伊勢志摩と日本の魅力を発信しようという動きが活発化した頃だ。伊勢神宮から熊野三山へと通じる熊野古道・伊勢路の注目度が増したが、かつては紀州藩の領地とされた三重県中南部(紀勢・東紀州)を和歌山県北部の私たちがどれほど理解しているか疑問に感じたことがきっかけ。

1年間で延べ20日、取材対象の地域を巡りたくさんの方々からお話を伺った。感じたことは和歌山県新宮市とのつながりの強さ。「交通が発展する前は東京からのアクセスが最も不便といわれた地域」などとおっしゃる方もいたが、東海地方に属しながらも「最も身近にある大きな街は新宮」という声が多く、和歌山(関西)の文化圏といって過言ではないだろう。

しかし、紀勢自動車道の整備により道路事情が改善され、中京圏からのアクセスが格段に良くなり人の流れが変わりつつあることも事実。時の流れには逆らえず和歌山との歴史や文化が色あせていくこともあるだろう。だが、最も理解があるであろう私たち和歌山県民が紀勢・東紀州の魅力を知ってつながることでそれは地域の資源として受け継がれ、さらに多くの人にふれられることで、色あせることなくコントラストの強いものになっていくはず。

本コーナーを通じて興味をお持ちいただいたスポットがあればぜひ訪れて、その感想を地域の方々に伝え、さらに家族や友人に共有していただきたい。知ってつながることで地域はもっと元気になれると思う。

伊勢神宮

伊勢神宮

(次田尚弘/伊勢市)