防災の取り組み学ぶ 片男波自治会に視察団

先進的な自主防災の取り組みを学ぼうと、愛媛県新居浜市連合自治会の視察団が20日、和歌山市の和歌浦地区片男波自治会を訪れ、災害時に支援を必要とする住民に対する取り組みの在り方などについて意見交換した。

片男波自治会は、自力での避難が難しい人の住所や連絡先を掲載した「避難行動要支援者名簿」を、災害対策基本法で義務化される前から「災害助け合い登録書」の名称で自治会独自に作成してきた他、運動会に防災をテーマにした競技を取り入れるなど、地域を挙げて積極的な防災活動に取り組んでいる。

新居浜市には活断層があり、南海トラフ地震が予想される県内と同様に大地震への備えが求められていることから、片男波自治会の取り組みを学ぼうと今回の訪問が決まった。

新居浜市連合自治会の日野幸彦会長と同市内の各自治会長15人が片男波集会所に集まり、片男波自治会の玉置成夫防災部長が取り組みについて紹介した。

片男波自治会は和歌浦地区の中でも海の近くに位置し、高齢者が多く住んでいることから、自力で避難できない高齢者を支援できるよう災害助け合い登録書を作成。災害時には登録書の内容に従い、支援者が近隣の住民の援護に向かう。

いざという時に円滑に助け合えるよう、地域のつながりを深めることが重要であり、普段からあいさつ運動を行い、専門家による勉強会なども開き、住民の防災意識を高めている。「飽きず、忘れず、疲れず」の精神で楽しく気楽にできる防災訓練を提案している。

玉置部長は「助け合えるように、向こう三軒両隣と仲良くすることが大事。防災は地震だけでなく、全ての災害に対する活動なので、継続することに意義がある」と話した。

取り組みの紹介後は意見交換。子どもたちが積極的に防災訓練に参加する方法や地区間の防災意識の違い、活動と予算のギャップなどについて話し合った。

日野会長は「勉強になった。津波の高さや地理的に差があってもやることは同じだと思う。学んだことを持ち帰り、新居浜でも広めたい」と話していた。

新居浜市の一行に取り組みを紹介する玉置部長

新居浜市の一行に取り組みを紹介する玉置部長