和歌山市コンプライアンス研修 汚職受け
和歌山市水道局の職員(12日付で懲戒免職処分)が、市発注の水道管工事で業者に便宜を図った見返りに現金30万円を受け取ったとされる贈収賄事件や、同僚職員への暴行事件が発覚したことを受け、同市は15、16日、市役所で再発防止に向けたコンプライアンス研修を行い、4回に分けて水道局職員約150人が受講した。
講師は、元大阪府箕面市職員で、ヒューマンスキル研究所代表の小室邦夫氏。小室代表は、収賄は額にかかわらず、その後の公務員人生を棒に振ってしまう重大さは同じと強調し「今回の事件は(授受の金額は)たった30万円。しかし、損失は、その後の給料や退職手当など金銭面の他、本人のみならず家族や同僚に精神的苦痛を与え、社会的信用も計り知れないほど失墜させる」と指摘した。
汚職の端緒となる業者との距離感については、「コーヒー1杯おごってもらうことや、雨の日などに送迎してもらうことなど、少しの『まあいっか』で、業者との癒着が始まる」と警告。汚職の危険性がある職員の人物像については、「仕事を何でも一人でこなす有能な人や、便宜の見返りを断り切れない気の弱い人」と、過去の事例を基にした分析を紹介した。
汚職の自衛策を考える職員間の意見交換では、「個人の携帯電話番号を教えない」「業者への対応は普段から複数人で行う」「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など個人情報の発信は、弱みを握られる可能性があるので慎重にする」などの意見が出た。