クルーズ船寄港誘致へ 県振興協議会設立

クルーズ船の県内寄港を誘致し、地域振興や経済活性化を目指す官民連携組織「県クルーズ振興協議会」の設立総会が7日、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で開かれ、受け入れ体制確立に向けた勉強会の開催や、商談会参加などの誘致活動に取り組む方針を確認した。総会に先立ち、大阪大学大学院国際公共政策研究科の赤井伸郎教授による、クルーズ船寄港と地域活性化についての講演も行われた。

県によると、県内へのクルーズ船の寄港実績はここ数年、延べ10隻程度で推移してきたが、本年度は17隻の寄港が予定されている。県は寄港回数を平成38年度には30隻まで増やしたいとしている。

設立総会には、県内の自治体や交通業界の関係者らが出席。事務局となる県港湾空港振興課は、より大型の船を受け入れるために和歌山下津、日高、新宮の各港で改良工事を行っていることや、船会社や船舶代理店などを対象に水先料や曳船料を補助する「クルーズ客船寄港促進補助制度」を本年度に創設したことを紹介した。

役員の選出が行われ、会長に浅見尚史県港湾空港局長、副会長に和歌山市の松尾和彦政策調整課長、御坊市の木下由美商工振興課長、新宮市の小渕学企業立地推進課長の3氏が就任した。

本年度の事業計画の審議では、国内外で開かれる商談会や見本市に参加して誘致活動を進めることや、船会社の運行決定権者らを県内に招いて港や観光地をPRすること、寄港する船の受け入れ体制整備について市町村と連携して勉強会を開くことなどを決定した。

総会の前に行われた講演会には約60人が参加。赤井教授は「クルーズ船寄港を地域活性化につなげる自治体の取り組みのあり方について+全世界のクルーズトレンド」と題して話した。

日本ではクルーズ船の旅に高価なイメージを持つ人が多いが、1週間で10万円程度のプランも多いと紹介。世界的にクルーズ船の大型化が急速に進んでおり、県内港湾が受け入れ可能なのは5万㌧台なのに対し、世界では全長300㍍、10万㌧以上の船が主流になっていると指摘した。

客層に関しては、日本ではクルーズ船の利用客に占めるシニア層の割合が大きいが、アメリカでは20代~30代前半の「ミレニアルズ世代」の割合も大きいと話した。

クルーズ船を活用した地域活性化については、受け入れに伴う経済効果の大きさに加え、住民が乗船客をどうもてなすかを考えることで、住民の地域づくりに対する意識の改革や地域活性化につながると語った。

和歌山については、釜山(韓国)と横浜を結ぶ航路の途中に位置しており、「地理的に有利。東京から新幹線で行きにくいことがクルーズ船誘致ではプラスとなる」と利点を強調した。

クルーズ船寄港増への取り組みを協議した総会

クルーズ船寄港増への取り組みを協議した総会