大地震想定し連携 県内で広域医療訓練
大規模災害が発生した際の医療環境確保に向けた、内閣府主催の災害対策訓練「大規模地震時医療活動訓練」が29日、県内各地で行われ、自治体の防災担当職員や警察官、自衛隊員ら約1000人が参加。災害時に被災地で医療活動を行うDMAT(災害派遣医療チーム)の受け入れ作業や航空機、自衛隊輸送艦などによる患者の広域搬送訓練などが行われた。
同訓練は毎年各地域を持ち回る形で行われており、県内での開催は平成25年8月以来。大規模災害の発生時は多くの負傷者が出る一方で医療施設が被災し機能低下が進むことも想定されるため、DMATの円滑な受け入れによる医療環境の確保や、航空機や船舶を使った負傷者の広域搬送が重要となる。
訓練は、28日正午に南海トラフ巨大地震が発生したと想定。県庁南別館で災害医療本部の設置訓練、南紀白浜空港で航空自衛隊の輸送機やドクターヘリを使った広域搬送訓練、コスモパーク加太ではSCU(航空搬送拠点臨時医療施設)の設置訓練などが行われた。
県庁南別館では、早朝から県職員やDMATが集合。県内各地の被災状況を確認したり、県外から駆け付けるDMATに対して被災状況や集合場所を伝達したりした。午前11時には、医療団体の関係者らで構成する災害医療本部の第1回会議が開かれた。
コスモパーク加太では、県消防学校の屋内訓練場にSCUが設置され、9時半ごろから、奈良や徳島、滋賀など各県のDMATが次々と到着。到着後は被災状況や各自の役割を確認し、ドクターヘリで運ばれてきた患者の受け入れなどが行われた。参加した奈良DMATの関係者は、熊本地震の被災地で活動した経験を振り返り「高速道路が通行止めで、到着が遅れることもあった」と話した。
また、津波で沿岸部の病院が被災する事態を想定し、自衛隊の輸送船内で応急処置を行う訓練も実施。和歌山下津港に入港した海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」内で訓練が行われた。