ソマリアでコレラ治療 日赤の医師が報告

アフリカ東部のソマリアで6月末から約1カ月間、コレラの患者の治療に当たり、今月上旬に帰国した日赤和歌山医療センター感染症内科部副部長の古宮伸洋医師(43)の帰国報告会が16日、和歌山市小松原通の同センターで開かれ、現地の様子や治療の経験などを語った。

ソマリアでは1月からコレラが大流行し、世界保健機関(WHO)の7月27日の発表では、1月からの累積患者数は5万8524人、死者は812人。感染症治療が専門の古宮さんは6月30日~8月6日の日程で同国に派遣され、北部の都市ブラオに設置されたコレラ治療センターで患者の治療や現地の医師への技術指導などを行った。

報告会で古宮さんは、コレラ流行の背景に水の汚染があることを説明。「治療法は確立しており、早く治療すればほぼ間違いなく治る」と強調し、治療センターでは、電話相談窓口の設置や救急車の無料化などに取り組み、早期治療に注力したと紹介した。

治安が不安定なため、外出や写真撮影が禁止され、赤十字を示すマークなどは一切付けられなかった。不安定な社会情勢は医療水準にも影響を与え、「ベテランのドクターがほとんどおらず、コレラの患者を診たことがないため、医師の指導に力を入れた」。

派遣期間中、同治療センターでは約600例の診療を行い、亡くなった人は一人もおらず、コレラの流行は終息に向かっているという。

活動で苦労した点については、清潔な水の供給や他の援助団体との連携を挙げ「コレラは本来死ななくてすむ病気。流行の背景にある貧困を解消しなければ今後も(流行は)起こり続ける」と警鐘を鳴らしていた。

現地での体験を報告する古宮医師

現地での体験を報告する古宮医師