和牛五輪で健闘 県初出場の種牛「わかな」

 7~11日の5日間、宮城県仙台市で開かれた和牛オリンピック「第11回全国和牛能力共進会」(全国和牛登録協会主催)の種牛(しゅぎゅう)の部第2区で、紀の川市名手下の中山牧場で育てられた黒毛和種「わかな」が1等賞8席に選ばれた。

 大会は全国の和牛が5年に1度、一堂に会し、産地の威信をかけて優劣を競う。全国39都道府県から513頭(種牛330頭、肉牛183頭)が出場。わかなは体高や骨格、毛並みなどを評価する種牛の部に県勢で初出場を果たした。

 飼養した中山郷史さん(36)は「県から初めての出場で分からないこともあったが、いろいろと勉強になった」と振り返り、「わかなはよく頑張ってくれた」とたたえた。

 5日午後2時ごろに和歌山を出発し、翌朝5時ごろ仙台市に到着。牛車にはわかなの他、肉牛の部で出品する牛も同乗させており、約900㌔もの移動を体験したわかなの体は、張りを失い、げっそりと痩せていた。会場到着時、他府県のライバル牛の多くはすでに現地入り。大会を熟知する他県の飼養者は牛の運搬方法も万全だった。中山さんは6日の身体測定に合わせ、わかなの体が元の状態に戻るよう手を打ったが、限られた時間では難しかった。

 8日に1回目の審査、10日に最終審査を実施。結果発表では会場に4本のラインが引かれ、牛たちは結果によって前のラインへと進んだ。中山さんらが見守る中、わかなは2等賞のラインから1等賞のラインへと前進。その姿に、関係者は涙を流して喜んだ。

 優等賞には進めなかったが、第2区出品33頭中、25番目で大会を終えた。会場で宮崎県や鹿児島県などの産地牛を目の当たりにした中山さんは「全然レベルが違った。悔しい」と実力差を痛感。それでも無事に大会を終えたことに安堵(あんど)し、「この経験を生かし、次は今回以上の成績を残したい」と5年後の鹿児島大会を見据えた。

種牛の部で県勢初出場を果たしたわかな(中山さん提供)

種牛の部で県勢初出場を果たしたわかな(中山さん提供)