衆議院解散 波乱の政権選択選挙に突入

 臨時国会が28日に召集され、正午に開会した衆議院は冒頭で解散された。10月10日公示、22日投開票の衆院選に向けて事実上の選挙戦が始まったが、小池百合子東京都知事率いる新党「希望の党」の出現により、野党は合流・再編問題に揺れ、与党は警戒感を強めている。安倍首相が打ち出した消費税増収分の使途変更などを争点に政権選択選挙となるが、選挙戦の政党の枠組みも定まらない流動的な情勢にあり、難しい選挙戦を迫られる県内各党に聞いた。

 自民党和歌山県連の吉井和視幹事長は、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返している北朝鮮への対応が選挙戦の最大のテーマと話す。「どう日本を守っていくかが問われている。一大事を前に国民に信を問うのは当然だ」と安倍首相の決断を評価し、「野党がぐらぐらする中、国民は誰が日本を守る役にふさわしいか見ていると思う」と述べ、野党の体制が定まらない状況下で勝利に自信を示す。

 県連会長の二階俊博党幹事長は森友・加計学園問題への説明を求める野党の声に対して「何カ月も前から話をしている。われわれは新しい時代に向かってしっかり対応していく」と述べた。

 公明党県本部の多田純一代表は、安倍首相が平成31年10月の消費税率引き上げによる増収分の使途変更を解散の理由としていることに理解を示し、「選挙戦では軽減税率の導入が政府方針となったことを実績とし、教育費の負担軽減や低所得高齢者の支援などを訴えていきたい」と話す。自民や日本維新の会などが憲法改正の争点化に意欲を示していることについては「国民的議論が不十分。拙速な改正には反対だ」と話し、けん制の構えを見せている。

 民進党は、小池知事の新党からの出馬を目指す離党者が相次ぐ中、前原誠司代表は事実上解党して希望の党と合流する方針を示した。説明が行われる28日午後からの党両院議員総会は大荒れが予想され、結果が注目される。県連の浦口高典幹事長は「党としてどうなるか分からない」と不安な心情を漏らす一方、「大義なき解散だ。森友・加計学園を巡る疑惑の追及から逃げようとしている」と安倍政権を強く批判。「一丸となって1区の議席を守り、2区も厳しい戦いになるとは思うが頑張ってほしい」と闘志をみなぎらせる。

 日本維新の会は和歌山1区への候補者擁立に動いており、県総支部の林隆一代表代行は「(党本部が県内に候補を送り込む)落下傘ではなく、県内で政治経験がある人を擁立したい。期限ぎりぎりまで擁立を目指す」と話している。

 共産党県委員会の下角力委員長は「安倍首相自身の疑惑を追及させないための解散だ。北朝鮮問題で国民の不安をあおり、与党に支持を集めようとしている。選挙戦では、安倍政権の『独裁』政治や労働者切り捨ての政治を徹底的に批判していく」と語気を強めている。