勝敗ラインは7万票か 衆院選和歌山1区
第48回衆院選は22日の投開票に向け戦いは最終盤に入った。わかやま新報はこれまでの取材を基に、和歌山1、2区の情勢を2日間にわたり掲載する。1区は、3度目の対決となる希望の党前職・岸本周平候補(61)と自民党前職・門博文候補(52)が激しく競り合い、共産党新人・原矢寸久候補(66)が追っている。各陣営は無党派層への浸透や、まだ投票先を決めていない層の取り込みに力を入れ、情勢は予断を許さない。
岸本候補は、自転車での街宣や街頭演説を基本スタイルに選挙戦を展開。連日2、3カ所で開く夜の個人演説会では、特に希望への合流について「安倍政権の暴走を止めるための苦渋の選択」と理解を求めてきた。党派を超え「岸本党」と呼ばれる支持層を持つ。陣営によると、年代を問わず幅広く支持を集め、特に主婦層を中心に女性の支持を獲得。自民、公明、維新支持層の一部や無党派層の半数を取り込んだと見るが「横一線の競り合い」と厳しい表情を崩さない。過去の選挙は、終盤の追い込みが勝利に結び付いたとし、態度を決めかねている有権者が多い地域への電話や遊説などで票の取り込みを狙う。前回の得票は6万7740票(投票率46・82%)。今回は投票率50%で票読みし「7万票は超えたい」と意気込む。
過去2回連続で岸本候補に惜敗した門候補は、組織戦を展開。後援会は会員数3万人超、企業部会には約1200社が名を連ねる。陣営は「これだけしっかりした後援会で臨む選挙は初めて。無党派層からの支持は相手が上だが、組織票を固め街頭で無党派層に訴えれば勝利の可能性は十分にある」と話す。推薦を受ける公明党とは、小選挙区で支援を受け、比例区で同党を支援する関係を構築するが、同党支持層の女性の動きが鈍いとの見方もある。前回は5万9937票を獲得。今回は投票率が上昇すると見ており「7万5000票はほしい」と期待。前回の得票差は約7800。「岸本候補は自民党の支持層にも食い込んでいる」と警戒し「最後はどんどん街頭に出て行く」と話す。
原候補は街頭での訴えを中心に活動。安保関連法廃止や憲法9条改正反対で一致し、推薦を受ける市民連合わかやまは投票の呼び掛けや弁士の派遣を行っており、相互協力の効果について陣営は「従来は応援してくれなかった人が演説に足を運んでくれる」と支持層拡大の効果を話す。岸本候補の支持層にどれだけ食い込めるかが鍵と見ており、比例区での復活当選の可能性を見据え、得票数の目標を3万5000票とし、「過去に獲得したことがあり、不可能ではないと思う。各地で街頭から訴えを続け、反安倍政権の声を大きくしたい」と意気込む。