家康紀行(40) 日本三大松原「三保の松原」

前号では静岡市清水区の「清見寺」について取り上げた。家康が手習いを受けた寺の一つとして、また、東海道に近く朝鮮通信使の休憩地として使用されたことで知られる風光明媚(めいび)な所。今週は同じ清水区内の景勝地「三保の松原」を紹介したい。
三保の松原は駿府城公園から東へ約15㌔の三保半島に位置する。駿河湾に面した7㌔におよぶ海岸線に沿い5万4000本のクロマツが茂る巨大な松原で、緑の松原と青い海の間に雄大な富士山を望むことから、古くからさまざまな文学や芸術作品に取り上げられてきた。
皆さまもご存じのテレビドラマ「暴れん坊将軍」で松平健さんが演ずる徳川吉宗が白馬に乗り、富士山をバックに砂浜を駆ける映像はここで撮影されたという。
日本三大松原(三保の松原、虹の松原、気比の松原)の一つとされ国の名勝に指定。平成25年6月には世界文化遺産として登録された富士山の構成資産となった。
松原の一角「御穂(みほ)神社」にある「羽衣の松」には天女伝説がある。地上に舞い降りた天女が松に掛け忘れた羽衣を漁夫に拾われ、それを返してもらうために天人の舞を披露したというもので、羽衣の切れ端といわれるものが御穂神社に保存されている。以後、この伝説は受け継がれ現在も「三保羽衣薪能」として毎年10月に開かれる羽衣まつりで演じられ継承されている。
筆者が訪ねた3月下旬は空気が澄み富士山に積もる雪が美しく絶景であった。これから春にかけてのシーズンの訪問がお薦めだ。
(次田尚弘/静岡市)