福を呼び込め えべっさん各地で大にぎわい
商売繁盛を祈願する「十日戎(えびす)」が9日から各地の神社で始まり、境内は福を授かろうと訪れる参拝者でいっぱいとなっている。「えべっさん」と呼ばれ親しまれる新年恒例のにぎわいは、11日の「残り福」まで続く。
和歌山県和歌山市吉田の東の宮恵美須神社では、9日の宵戎から祭神・恵比寿(事代主=ことしろぬし)の総本宮である島根県松江市の美保神社から横山陽之宮司らが訪れており、3日間にわたり参拝者に福を授けるとともに、悪いものを断ち切って福を呼び込む「悪斬(あくぎり)の舞」を披露している。
境内ではタイや米俵など縁起物を飾った福笹や熊手、ちり取りが販売され、福娘が「ようお参り」と参拝者に新しい飾りを手渡した。飾りには旅行クーポンや自転車が当たる福引も付いており、参拝者は福笹を手に早速、福を呼び込もうと抽選のガラガラを回していた。
お参りに訪れた同市田尻の夫婦は「毎年来て、商売繁盛と健康をお願いしている。ことしは福引が当たったので、良い福が来ているみたい」と笑顔。東の宮恵美須神社代表役員の中野孝司さんは「国内外いろいろな問題はあるが、参拝した皆さんには良い福を持って帰ってもらえたら」と話していた。同神社では2万個の縁起物を用意しており、3日間で8万人の参拝者を見込んでいる。「悪斬の舞」の披露は10日の午後5時、9時、11日の午前11時、午後3時から予定されている。
海南市日方の伊勢部柿本神社(塩﨑昇宮司)でも、9日から多くの参拝者が訪れ、福を授かろうと縁起物の購入などに列をつくった。
福笹、熊手、三つ俵などの縁起物は、法被に身を包んだ恵比須講の男性らが「ようお参り! ようお参り!」と元気よく声を掛けながら手渡し、参拝者も「景気ええな」とにっこり。
境内にはたこ焼きや甘栗などの屋台が並び、はずれなしのくじ引きも行われ、子どもから大人まで大勢が楽しんだ。
同神社には例年、3日間で約3000人の参拝者が訪れるという。
参拝した海南市の会社員、下川雅司さん(55)は「家内安全で景気のいい年にしたいですね」と笑顔で話していた。