4分野で選択式に 県職員採用試験を見直し

 和歌山県は、職員採用Ⅰ種試験(大学卒業程度)の第1次試験について、来年度から一般行政職の試験方式を変更すると発表した。専門科目について、社会科学の各分野から幅広く出題する現在の方針を見直し、「法律」、「経済」の各分野に特化したものや人文・自然科学の問題も一定程度出題されるものなど4種類からの選択制とする。県は採用試験の受験者が減少する中、多様な試験方式を導入し受験者の増加や高度な専門性を持つ人材の確保につなげたいとしている。

 県人事委員会によると、一般行政職の受験者数は平成22年度は564人だったが29年度は346人に減少。競争倍率も22年度が11・5倍だったのに対し、29年度は5・1倍となっている。県は景気回復に伴う民間企業の採用活発化が原因と見て、昨年6月ごろから試験方式の変更について検討してきた。

 新しい試験は、法律、経済と総合A、Bの4種類で構成。解答する問題数はどれも40題で、法律は35題を憲法や行政法、刑法などの法律科目が占め、経済は経済原論や財政学、統計学などの経済科目から35題が出題さされる。総合Aは法律や経済の分野に加え教育学や心理学などの文系科目、総合Bは、法律や経済分野と、数学や物理など理系科目から出題される。

 また、全ての試験区分について、教養試験の中で人文・社会・自然各分野の理解を問う「知識分野」の解答数を25題から15題に減らし、試験時間を2時間半から2時間に短縮するとした。

 県庁で記者会見した同委員会の平田健正委員長は、県政に対する県民の要望が複雑、多様化しているとして「優れた専門性を持った人材を確保したい」と強調。出題内容の変更により理系分野を専攻している学生の受験が増えることに期待を寄せ、「大学で学んでいる内容を生かしてほしい」と話した。

 仁坂知事は16日の定例会見で、現在の専門試験について、出題範囲が広く、受験者の多くが試験対策のために予備校へ通っていることを指摘。法律や経済の各分野に特化した方式の導入について「大学で専攻分野を一生懸命勉強していれば大丈夫だと思う。ものすごく良い制度だ」と高く評価している。

 一般行政職の採用人員は60~70人程度となっており、第1次試験の他に面接と論文で選考する第2次試験があり、例年6~8月に実施されている。