地元の鮮魚を食べて ブランド「和海もん」
地元和歌山の海でとれる新鮮な海産物を、市場を介さず直接消費者に届けようと、和歌山と海南市沿岸の漁協でつくる和海地区広域水産業再生委員会が25日、鮮魚ブランド「和海(わかい)もん」を立ち上げた。和歌山県の岩出市や紀の川市などで農産物直売所を展開する「産直市場よってって」の店頭で、その日水揚げされた魚が「和海もん」として並ぶことになり、漁業関係者らの機運も高まっている。
同地区の沖合にはプランクトンの多い豊かな漁場が広がり、多いときで約60~70種類もの魚がとれる。それらは「紀伊水道の魚」と呼ばれ、〈おいしい魚〉として地元の人たちによく知られている。
だが、小型底引き網や一本釣りによる漁法が主流で、魚の種類は豊富なものの市場に流通させるには数量が足りないなどの理由から、消費者の需要がある一方で漁師たちがやむなく自家消費するものも少なくなかった。 今回のブランド化は、同地区の漁獲量減や魚価格の低迷に歯止めをかけ、市場に出せなかった魚を少量からでも消費者に届け販路を拡大することで、漁業を活性化させようという狙いもある。
「よってって」岩出店の岩原美儀店長によると、以前から「地元の魚はないの」と客からの要望が多かったといい、同店では昨年から水産部門を設け地元の魚を取り扱うようになった。岩原店長は「ブランド化されたことでお客さんに『地物』としてアピールしやすくなった。流通という武器を生かし、漁師さんと消費者をつなぎたい」と意気込む。
この日、同店の鮮魚売り場にはカマスやカレイ、カワハギなど約15種類が並んだ。いずれも「和海もん」ブランドであることを示すシールが貼られ、生産者である漁師の名前が添えられている。朝6時に海南市の戸坂漁港からナマコを運んできた漁師の濱端敏樹さん(56)は「その日締めた鮮度の高いものを出荷している。これから春にかけてタコや天然ワカメも出てくるのでぜひ食べてほしい」と話していた。
「和海もん」は岩出店の他、貴志川店(紀の川市)、いなり本館(田辺市)、くどやま店(九度山町)などでも販売される。