脳の構造に性別が影響か 県立医大が発表
脳のネットワーク構造に男女間で違いが見られることが、和歌山県立医科大学の金桶吉起教授らによる研究で明らかになった。女性の脳のネットワークが月経周期によって変化することも分かり、金桶教授は「性差を正しく理解することは医療の発展に不可欠ではないか」と話している。
金桶教授ら同大医学部生理学第1講座の研究者らは、2012年から約5年間にわたり、国内の大学生200人の脳をMRI(磁気共鳴画像装置)で調査。脳の内部で互いに情報を交換している神経回路網(ネットワーク)のつながりが個人差や疾患によって異なることに注目し調査したところ、男性は前頭葉でつながりが強く、女性は後頭葉のつながりが強いことが分かった。
また、女性の場合は脳のネットワーク構造が月経周期によって変化することも判明。金桶教授は頭痛や不安感、イライラなど月経前の症状が強い場合は変化が大きいとしている。
金桶教授と堂西倫弘助教が同大で記者会見し、研究成果を報告。金桶教授は動物実験のほとんどで雄が使われていることを挙げ、「医薬品の研究開発や医療現場では性別がほとんど考慮されていない」と指摘。「神経精神疾患の治療や研究では性別を考慮すべきではないか」と述べた。
和歌山画像診断センターと共同の研究成果は米国の科学雑誌「Brain and Behavior」に掲載されている。