イタドリで副収入 耕作放棄地で実証栽培

 紀美野町の「きみの山の恵み研究会」(赤阪恵子会長)は、和歌山県の林業試験場や海草振興局と共同し、繁殖力が旺盛でおいしく食べられる山菜のイタドリなどをビジネスにしようと、実証栽培に取り組んでいる。4月には志賀野出張所で加工や販売体制の整備も視野に入れた「イタドリ加工研修会」を開き、同会のメンバーが熱心に学んだ。

 講師に迎えた同試験場特用林産部主査研究員の杉本小夜さんが、イタドリの下ごしらえや保存方法などを実演を交えて説明。会員らは、皮をむき塩をまぶして水分を抜き、小分けにして冷凍保存をすることで、漬物や炒め物などさまざまな料理に活用しやすくする方法を学んだ。

 同町には古くからイタドリを収穫して味わう食文化があり、「ゴンパチ」という愛称でも親しまれてきた。同局農林水産振興部林務課の佐野豊主任によると、畑での栽培方法や、イタドリに多く含まれているポリフェノールなど機能性成分の研究などを進めて商品開発を行い、山間部の収入源となることを目指すという。

 同試験場は、耕作放棄地を活用してイタドリを栽培する取り組みを進めており、2017年3月、同町の山に自生するイタドリの地下茎を500平方㍍の畑に植え付けたところ、9割の発芽率で順調に成長している。株の成長が見込める来春には、初めての収穫ができる。

 赤阪会長(74)は高齢化が進む同地区で、耕作放棄地が増えていることに心を痛めており、「イタドリは雑草のように栽培しやすく軽いので、高齢者にも生産しやすいです」と新たな農産物として期待を込め、「栄養価も高いので活用の幅を広げていきたいです」と意欲を話していた。

イタドリの加工について話す杉本研究員

イタドリの加工について話す杉本研究員